【クォータル・コード】四度堆積和音の特徴とコードネームを考える

音楽理論・DTM関連
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今回は、「四度堆積和音」の特徴とコードネームの記譜法を考えます。

四度堆積和音とは?

四度堆積和音(よんど たいせき わおん)とは何でしょうか?

メジャーコードやマイナーコードなど西洋音楽由来の和音は、基本的に「3度堆積」です。

対して「四度堆積和音(クォータル・コード)」は、ルート音から4度ずつ音を積み重ねた和音になります。

ちなみに、ここでの四度とは「完全4度」と「増4度」を指します。(「減4度」は「長3度」の異名同音なので)

四度堆積和音の特徴

四度堆積和音は、西洋音楽的な長調/短調とは違った響きを持ちます。

調性感が薄く、オリエンタルな雰囲気を感じます。

四度堆積和音にコードネームがない理由の考察

四度堆積和音には、未だこれといったコードネームがありません。

なぜでしょうか。

考えられる原因をいくつか挙げてみます。

転回すると「四度堆積っぽさ」が薄れるから

コードネームは和音を簡易的に表すための概念で、ベース音以外の音の積み方に寛容です。

たとえば、「CMaj7」はベースがCであれば、その上に構成音であるC,E,G,Bがどう積まれていても「Cmaj7」として扱います。

一方で、一般的なコードに比べて四度堆積和音は展開すると「あ~四度堆積っぽい~」みたいな雰囲気が薄れる気がします。

たとえば、こちらの四度堆積和音を展開すると「sus4」や「sus2」になります。

このサウンド、理屈の上では「四度堆積和音の転回形」と言い張れても、耳で聞いた印象はsus系の和音に聴こえる人が大半だと思います。

つまり、一般的なコードに比べて気軽に転回できない(転回すると和音のキャラクターが棄損される)ので、「コードネームで書いたとて…」みたいな感じですかね。

…とはいえ、テンションを含んだコードもボイシングによってけっこう雰囲気は変わるので、そこまで大きな問題点でないかもしれません。

それから、逆に四度堆積和音のコードネームを使用すれば、明らかに「sus4」や「sus2」と違う意図だと暗示できるかもしれません。

そもそもあんまり使わないから

現在、世の中の大部分の音楽は西洋音楽からの文脈を含んでいます。

そのため、その西洋音楽であまり使われない和音のコードネームを普及させたい欲求が少なかったのかもしれません。

近年、一部界隈で四度堆積和音のコードネームが使われている?

という感じで対応するコードネームがなかった四度堆積和音

僕自身は、音楽理論を勉強したときに「四度堆積和音もコードネームあってもいいのでは?」と思いつつも、「無いものは無いしな~」とそれ以上考えませんでした。

しかし、最近YouTubeでジャズ系の動画を見ていたら「q」と書かれたコードを見かけました。

気になって調べてみると、こんな動画を見つけました。

四度堆積和音のコードネームを提案している方のようです。面白い!

ということで、この方の提案などを元に、僕なりに四度堆積和音のコードネームの考え方をまとめたので、解説したいと思います。

四度堆積和音のコードネーム「q(クォータル)」

※以下で説明する「四度堆積和音」のコードネームの命名規則は、あくまで一部界隈での提案を僕なりに解釈したもので、多くのミュージシャンのコンセンサスが得られた内容ではありません。

四度堆積和音」は英語で「Quartal harmony(クォータル・ハーモニー)」と言います。

その頭文字を取って、コードネームには「q」を使います。

「q(クォータル)」:全て「完全4度」で積む場合

まず、全て「完全4度」で堆積した和音は、そのまま「q(クォータル)」と呼びます。

そして、ルート音に対してトップノート(最高音)の度数を「q」の横に書きます。

たとえば、ルートC+完全4度上のFの場合は「Cq4
ルートC+完全4度上のF+完全4度上のB♭の場合は「Cq7
ルートC+完全4度上のF+完全4度上のB♭+完全4度上のE♭の場合は「Cq10

といった具合です。

7音をひとつの区切りにする

次に、四度堆積和音をコードネームで表す場合、7音をひとつの区切りにします。

なぜなら、「完全4度」か「増4度」の間隔で音を積んでいくと、どんな組み合わせでも8音積んだ時点でトーン・クラスター(隣り合う3つ以上の音を含む和音)になるからです。

たとえば、Cから完全4度ずつ「C,F,B♭,E♭,A♭,C♭,G♭,B」と8個音を積んだ…いわば「Cq22」コードは、隣り合うBCD♭が同時に鳴ってしまいます。

また、メジャースケールなどよく使われる音階が7音である点も、7音をひとつの区切りにする理由になるかなと思います。どういうことかというと…

四度堆積和音をスケールに編み直してみる視点

上に積みあがっていく四度堆積和音をスケールの構成音に編み直してみます。

すると、全て完全4度ずつ7音積み上げた「q19」コードは「ロクリアン・スケール」になります。

モード(旋法)として使われるあのスケールです。(詳しくはこちら↓)

増四度が入る場合は「モード名」で区別する

冒頭に紹介した通り、四度堆積和音は「完全4度」か「増4度」を含みます。

動画では、増四度を含む場合は「その和音が含まれるモード(教会旋法)の名前」を付けるという考え方が紹介されています。

まず、完全4度だけで積んだ7音までのクォータル・コードはロクリアン・スケールに収まるので、ロクリアンはデフォルト扱いで省略します。

トライトーン(増四度)が入る場合は、その構成音が入るモードを探して、「Cq Lydian 13」のように表記します。

7音までのクォータルコードのバリエーション

拡張の数字は三度堆積のテンション表記と同様に、7(暗黙)→10→13→16→19で進みます。

完全4度のみの場合(ロクリアン)はそのまま:

  • Cq7:C-F-B♭(3音)
  • Cq10:C-F-B♭-E♭(4音)
  • Cq13:C-F-B♭-E♭-A♭(5音)
  • Cq16:C-F-B♭-E♭-A♭-D♭(6音)
  • Cq19:C-F-B♭-E♭-A♭-D♭-G♭(7音)

トライトーンを含む場合はモード名を付けます。例:

  • Cq Lydian 13:C-F♯-B-E-A(増四度がC-F♯)
  • Cq Ionian 10:C-F-B-E(増四度がF-B)

モードの判定は、構成音が含まれるスケールを探していく方法(リディアン→イオニアン→ミクソリディアン→ドリアン→エオリアン→フリジアンの順で確認)で説明されています。

判定順モード名付け方補足
0Locrian付けないトライトーンなしのデフォルト
1LydianCq Lydian 13 など最優先で判定
2IonianCq Ionian 10 など次に判定
3MixolydianCq Mixolydian 13 など次に判定
4DorianCq Dorian 13 など次に判定
5AeolianCq Aeolian 16 など次に判定
6PhrygianCq Phrygian 16 など最後に判定

つまり、まとめるとこういう感じ。

トライトーンが複数ある場合のコードネーム(提案)

補足として、トーン・クラスターにならずに異なるトライトーンを2組含む唯一の四度堆積和音として、「C-F♯-B-F」という組み合わせがあります。

この和音は、ルート音と2番目の音(C-F♯)と、3番目と4番目の音(B – F)のインターバルが増4度で堆積された和音です。

Cq Lydian 7」に完全10度の音を追加したとも解釈できます。

この特殊なケースに「Cq DblTri10(シー・クォータル・ダブル・トライトーン・テン)」という表記を提案します。

「Dbl」は「Double」、「Tri」は「Tritone」の略称です。

※「DblTri10」は、件の動画の提案とは別に、当記事の筆者が独自に考案した表記です。動画内ではこのケースの詳細な命名規則は説明されていません。

ちなみに、DblTri10はこの上に完全4度を積むとトーンクラスターになり、増4度を積むと3番目の音と同じ音になるのでこれ以上は音を積めません。

8音以上の四度堆積和音

ちなみに、だからといって8音以上の四度堆積和音を使えないわけではないです。

実際、こちらの久石讓さんの『Asian Dream Song』の後半5:25秒あたり

低音から「C,F,B♭,E♭,A♭,C♭,F♭,B♭,C」と完全4度ずつ音が積まれた、まさに「Cq22」の響きが使われています。

ただ、8音以上の4度堆積和音をコードネームで表すと、トーン・クラスターとの棲み分けをするのが難しいのも事実です。

完全4度ずつ積んだ「q」の場合だけは、こんな感じで使っても良いかもしれませんが…

ただ、いずれにしても構成音的にはトーン・クラスターなので、その他のバリエーションも想定してコードネームとして扱う旨味は少なそうです。

動画の考え方では、7音を超える場合は22→25→28のように拡張し、モード名は付けない運用が提案されています(7音を超えると増四度を入れると同じ音が重複してしまうため、実質的に完全4度のみになる)。

とはいえ、実際の楽曲では8音以上の四度堆積和音も使われており、BとCとD♭の3半音がぶつかってトーン・クラスターになっていますが、四度堆積なので音が濁らず美しく響いています。

まとめ

今回は、四度堆積和音の特徴と、そのコードネームの記譜法について解説しました。

四度堆積和音は、西洋音楽的な響きとは異なるオリエンタルな雰囲気を持ち、近年一部の界隈で「q(クォータル)」というコードネームが提案されています。

完全4度のみで積む場合は「q」と拡張度数で表記し、トライトーンを含む場合はモード名(Lydian/Ionian など)を併記して区別します。

ただし、この記譜法はまだ広く普及しているわけではなく、あくまで一部の提案に過ぎません。実際の楽曲制作やアレンジでは、従来のコードネームや楽譜での直接的な表記と併用しながら、使いやすい方法を選ぶのが良いでしょう。

四度堆積和音は、現代音楽やジャズ、映画音楽などで独特の色彩を生み出す和音です。ぜひ実際に音を出して、その響きを体感してみてください。

参考文献・URL

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