- 作曲で良いリズムパターンが思い浮かばない。
- 自分のイメージしているリズムをドラマー伝えたい。
- ドラマーだが、オリジナルのリズムを考えるのが苦手。
などの悩みをお持ちの方のために”リズムパターンの考え方“をまとめました!
リズムパターンの作り方
結論から言うと 僕のリズムパターンの考え方は、非常にシンプルです。
①スネアの位置
②刻むビートの種類
③キック(バスドラム)の位置
この3つの要素を意識します。
あとは、それぞれ「曲に対して“意図した効果”を与えるリズムを組み合わせる」
これだけです。
「…いや待って、“意図した効果”を与えるリズムって…何?(^∀^)??」
って声が聴こえてきました。笑
つまり… “曲に合うリズムパターン“を考えるためには、まず
「どんなリズムが曲にどんな効果をもたらすか」 の知識が必要です。
…そんなわけで、曲例と一緒に「どんなリズムがどういう効果をもたらすか」を見ていきましょう!
曲例は多めに紹介しています。
ざっと聴くだけでもネタになると思います!
では、いってみよう!(๑˃̵ᴗ˂̵)و
①スネアの位置を考える。
曲のテンポ感を決定しているのは、主にスネア系音色(アクセント)の位置です。
スネアの位置によって、リズムを「バックビート」、「オンビート」、「ハーフタイム」、「倍テン」などなど…色々な種類に分類できます。
つまり、スネアを入れる場所でリズムパターンの方向性が決まるのです。
もちろん、「どこにも入れない」も選択肢に含みます。
「スネアのタイミング」で分類される主なリズム種類
バックビート系
2拍・4拍にスネア(アクセント)が来ます。
疾走感やブチ上げ感が出る、オーソドックスなパターン。
ONE OK ROCK – 完全感覚Dreamer
この曲のサビや
Green Day – American Idiot
この曲のイントロのリフなど。
オンビート系
1~4拍全ての表拍にアクセントがきます。
「スネアの4つ打ち」とも言えそうなパターン。
フジファブリック – 若者のすべて
イントロ~サビ前までなど
Bring Me The Horizon – Drown
イントロ
ハーフタイム系
3拍目のみにアクセントがくるパターン。
ここ数年のトレンドはハーフタイム系だと思います。
King Gnu – 白日
だいたい全体的にハーフタイム系。
Ariana Grande – positions
こちらの曲も、だいたい全体的にハーフタイム系。
ダブルタイム(倍テン)系
ダブルタイム(倍テン)系は、とにかく疾走感が出ます。
ただ、上手く使わないと平坦な印象を与えるので注意です。
X Japan-紅
曲全体を通して、ドラムはダブルタイム(倍テン)系のリズムがメインになっています。
DragonForce – Through The Fire And Flames
こちらも、ドラムは全体的にダブルタイム(倍テン)系のリズム。
スリップビート系
スネアのタイミングを一定に保つのではなく、2拍4拍からズラしたリズム。
独特のノリが出せます。
ASIAN KUNG-FU GENERATION – アフターダーク
イントロのリズムは、細かくアクセントの位置が変わっていますね。
L’Arc~en~Ciel – Don’t be Afraid
間奏のリズムがスリップビートになっています。
L’Arc~en~Cielのyukihiroさんは、スリップビートを多用するイメージがあります。
スネアの音色について
最近は、生のスネア音色ではなくサンプリングしたスネア、ウォータードロップ、クラップなどを使用する場合も多いです。
必ずしも常に生ドラムの音が“最高の選択”ではありません。
Zedd, Elley Duhé – Happy Now
基本的にハーフタイム系で、抜くところは徹底的にリズムセクションを抜き、スネアはウォータードロップ系の音色の使用率が多めです。
いくつかのスネア音色を使い分けている部分も要チェックです。
Snail’s House – Pixel Galaxy
ウォータードロップ系の音色は、フューチャーベース界隈で多用されるイメージです。
Billie Eilish – bad guy
クラップ系音色は微妙にタイミングをずらして重ねると、ルーズでクールな質感を演出できる気がします。
星野源 – アイデア
セクションごとに、生ドラムとサンプリングのドラムを使い分けるアレンジ。
スネアは曲のノリを決定する重要なポイントなので、いろいろ試してみてください。
もちろん、複数の音色を使ったり、曲のセクションごとにパターンを変えたりしてOK!
②刻むビートの種類
アクセント位置を決めた次は刻むビートの種類と、そのビートをどんな音で刻むかを決めます。
ビートの種類とは、4ビート、8ビート、16ビート、シャッフル(3連符)…などです。
ビートを刻む音色は、生ドラムだと基本的に「ハイハットシンバル」・「ライドシンバル」・「フロアタム」が使われます。
では、よく使われるビートの例をいくつか紹介します。
4ビート
4分音符でビートを刻みます。
ドラムによるリズムの提示が最小限になるなので、他のパートとの組み合わせで印象が大きく変わります。
THE BACK HORN – 罠
平歌は楽器隊が終始シンプルな刻みを繰り返しています。
VITALISM – PAGAN PART II
メタル界隈では、4ビートをキープしつつバスドラムを複雑なリフのリズムにユニゾンさせる手法が定石です。
複雑なリズムの中に一定の秩序を与える使い方です。
8ビート
8分音符でビートを刻みます。
ドラムの一番基本的なビートとしても扱われる8ビート。
シンプル・イズ・ベスト。
羊文学 – 砂漠のきみへ
曲を通してシンプルな8ビート。
あれこれ飾りつけをしないので、素材そのものの味がよく出ている感じがします。
16ビート
細かい16分音符の刻みには、緊張感や緻密な印象を受けます。
MIYAVI – WHAT’S MY NAME?
曲中を通して16ビートが多用されています。
ギターのリズムとも相まって絶妙な心地よさがあります。
シェイク系ビート
シェイクビートは、8ビートの16分裏拍にゴーストノートを絡めたリズムです。
立ち位置的には、8ビートと16ビートの中間みたいなリズムです。
凛として時雨 – JPOP Xfile
16分裏のゴーストノートによって、普通の8ビートとは違うリズムのウネりを感じます。
9mm Parabellum Bullet – Termination
イントロが、フロアタムと他タムを絡めたシェイク系ビートです。
こういうパターンもありです。
シャッフル系ビート
シャッフルは、3連符の刻みを基本にしたビートです。
3連符独特のリズムのうねりが心地よいリズムです。
Toto – Rosanna
こちらのRosannaは「ドラマーの登 竜門」とも呼ばれるビート「ハーフタイム・シャッフル」で有名な曲。
トラップ系ビート
ヒップホップのサブジャンルである「トラップ」で良く用いられるトラップ系ビート。
特徴は、ハイハット系のサンプルを一瞬ものすごい細かさ(32分音符など)で刻む点です。
Travis Scott – SICKO MODE ft. Drake
ゆったりとしたリズムに、高速のハットの刻みが加わりドープな質感が生み出されています。
また、近年の世界的なヒップホップの人気に伴いトラップ系ビートは、他ジャンルの楽曲にも多く取り入れられています。
Polyphia – Yas feat. Mario Camarena and Erick Hansel
こんな感じや
Official髭男dism – Stand By You
こんな感じです。
トラップ系ビートは、今やジャンルを超え2010年代後半以降の音楽を代表するビートだと感じます。
③キック( バスドラム )の位置
最後は「キックの位置」です。
キックの位置で結構ジャンルの方向性が決まる気がします。
4つ打ち
まず、キックが特徴的なリズムの代表格と言えば、バスドラムがずっと4分音符を打っている「4つ打ち」です。
「4つ打ち」は、4拍子の曲をほぼ例外なく強制的に踊れる感じにするパワーを持っています。笑
ASIAN KUNG-FU GENERATION – 君という花
キックの「4つ打ち」は、(8分の)シンバル裏打ちとスネアのバックビートと組み合わせられる場合が多いです。
この曲は、そんな王道の「ドッチー タッチー!」している「4つ打ち」をイントロから聴けます。
KANA-BOON / ないものねだり
こちらも。「ドッチー タッチー!」が至る所で使われています。
…こういった王道な手法は、すべからく「安直だ」とも言われます。
ただ、やはり良いものは良く、工夫次第では色々な応用方法もあると思います。
たとえば…
リアクション ザ ブッタ – Fantastic Chaos
「個性がないよ こんなんじゃ埋もれて終わるだけだね そもそも 王道な歌が今更流行るとは思えないから 路線変えたらどう? あ、そうだ流行の4つ打ちバンド なんていかがでしょう。」 話はもう終わりか? あぁうるせぇな
リアクション ザ ブッタ – Fantastic Chaos
歌詞の内容に対して、あえてこの部分だけ4つ打ちを使う皮肉が効いたアレンジ。
新曲に普通に4つ打ち使ってたけど
[Alexandros] – ワタリドリ
4つ打ちでも、スネアの入れ方を工夫すると、このように結構雰囲気は変わります。
神様、僕は気づいてしまった – CQCQ
イントロ部分、「シンコペーションしながら、その他は4つ打ち」という良い所取り。
平手友梨奈 – ダンスの理由
曲後半のリズムパターンは、基本的にシンプルな4つ打ち+バックビートです。
一方、楽器隊やメロディのリズムはシンコペーションや16分音符を取り入れた細かめのリズムになっています。
この組み合わせにより、曲全体で聴くと力強くもノリが良い立体的なリズムになっていると感じます。
“4つ打ち”以外の キックのリズム
キメ
キックを、”曲のリフ“や、”印象的なフレーズ”のリズムに合わせると「その曲のためのリズムパターン感」が出ます。
例えば、メロディや楽器隊がシンコペーションしている部分では、同じくシンコペーションしたリズムを叩いた方がハマると思います。
いわゆる”キメ“です。
宇宙コンビニ – EverythingChanges
キメキメで気持ちが良いです。
ちなみに、イントロ部分の拍子はこちら
UVERworld – 7th Trigger
ただ、もちろん絶対的なルールではありません。
この曲のサビのように最低限だけはキメて、あえて他のフレーズに合わせず一定のキックのリズムをキープする手法もカッコよくてアリです。
ユニゾン
完全に同じリズムを重ねる(ユニゾンする)発想です。
特にメタル界隈では、常套手段です。
Meshuggah – Bleed
界隈では有名な曲。
大半をギター、ベース、キックがリズムをユニゾンで刻むパートが続きます。
Sons Of Apollo – Goodbye Divinity
キックだけなく、タムなどで同じリズムを重ねて叩くのも王道な手法です。
ツーバス/ダブルベース
その名の通り、2つのバスドラムやツインペダルを使ってバスドラムをドコドコと連打する手法です。
こちらも、メタル界隈でよく使われます。
KHUFRUDAMO NOTES – Extra Dimensions feat. Taisuke
タイスケさんにゲスト参加してもらったクフルダモノーツの楽曲のアウトロソロ部分。
メタルインストらしくドコドコしています。
…僕は普段こんなに振りかぶって叩かないので、撮影の翌日筋肉痛になりました。笑
Dream Theater ‐ A Nightmare To Remember
1:10あたりから、6連符のツーバスの連打。
キックは高速で刻む一方で、スネアは大振りなハーフタイムのアクセントです。
重々しい雰囲気を維持したまま緊張感を出せるリズムパターンですね。
生ドラムのリズムパターンを作る時の注意
さて。代表的なリズムの種類を紹介してきました。
次は、非ドラマーが生ドラムのリズムパターンを作るときの注意点を紹介します。
4つ以上の打楽器を同時に叩かない
しばしば「千手観音」などと呼ばれるドラマーがいます。
ただし、それはあくまで暗喩で 実際には人間の手足は合わせて4本です。
4つ以上の打楽器を”同時“には叩けません。
めちゃくちゃ叩きまくっているように見えても「同時4ヒット」がMAXです。
まぁ…ペダルを同時に踏んだり、スティックの先端と後ろで同時にタムを叩く…なんてことも不可能ではないですけど(笑)
右足はバスドラ、左足はハイハットに使う
また、基本的にドラマーは右足で「バスドラム」、左足で「ハイハットシンバルのフットペダルかツインペダル(バスドラム)」を踏みます。
よって、「4ヒット」のうち2つはバスドラムかハイハットペダルにしましょう。
もちろん、足元にいくつもペダルを並べる頭がおかしい人(賞賛の言葉)もいます。
ただ、一部の限られた変態だけなので基本的にはやめましょう笑
手順とテンポから叩けそうか考える
演奏可能なスピードはドラマーの力量によります。
ただ、基本的に片手でBPM=200の8分音符までで考えてください。
つまり、BPM=100を超える16分音符を叩く場合、一般的なドラマーは両手を使います。
また、両手だとBPM=200の16分音符連打までが常識的なスピードです。
たとえば
16ビートが両手になるので、スネアドラムの位置にハイハットなどを重ねない。
手で16分音符を連打するフィルインをした直後に、両手で叩かない。
などの注意が必要です。
…ただ、これも限られた一部の変態には出来てしまうので、不可能とは言えませんが…
普通は無理なので、ドラマー自身から「やりたい」と申し出がなければやめましょう。笑
その他:高難易度フレーズ
ここまでの内容を踏まえてリズムパターンを考えると
「それなりに曲にハマるリズムが作れるかなぁ…」と思います。
…ただ、せっかくなので、さらに複雑で発展的なリズムのアイデアも紹介します。
以下のリズムは、ドラマーのやる気や力量と照らし合わせた上で使用をご検討ください。笑
複合的にユニゾンする
メインのフレーズのリズムにユニゾンした上で、その他の旋律のリズムにもユニゾンする発想です。
たとえば、この曲↓の1:55あたりからのドラムパターンを聴いてみると分かり易いです。
Dream Theater – On The Backs Of Angels
1サイクル目はシンバルが4分打ちです。
しかし、2:09からの2サイクル目では、新たに加わってくるキーボードのリズムを意識したリズムでシンバルを叩いています。(完全に同じではないけど)
つまり、足はギターリフのリズムにユニゾン、スネアは各種ビート、 右手はキーボードフレーズのリズムに大体重ねて叩く 状態になっています。
…この曲はBPM=138にもかかわらず16分音符を平然と片手で叩いているところもおかしいです。笑
とりあえず、かなり難易度のリズムになります。
オスティナート
あるリズムをずっとキープしながら、他のリズムを叩く手法です。
「執拗反復」とも言います。
よく「ドラマーは手足をバラバラに動かしてすごい」と言われます。
ただ、基本的にそこまでバラバラに動かしているわけではありません。
しかし、オスティナートのフレーズはドラマー視点でも「バラバラに動いている」と思うくらい、独立してリズムを叩く必要があり、難易度が高い手法です。
神保彰&櫻井哲夫 「Funky Punch」
1:08あたりから「クラーベ」というリズム(コッコッっていってるやつ)を、左足でオスティナートしながら、他のリズムも叩いています。すごい。
リニアフレーズ
リニアフレーズは、基本的に両手と両足が同時に重ならないリズムを指します。
複雑なリズムになるので、難易度が高くなりがちなフレーズです。
Mr. Big – Take Cover
この曲のリズムパターンは、界隈では有名なリニアフレーズで、リニアフレーズを叩きながら、左足では8分音符をキープします。
涼しい顔をして叩いていますが、鬼の所業です。
ブラストビート
倍テン(2ビート)系よりさらに速いビートです。
もはや速すぎて逆に遅く聴こえる気もするリズムで、デスメタルなどでよく耳にするリズムです。
とにかく速く、リズムキープとコントロールが大変です。
この動画はブラストビートの種類を分かりやすく紹介しているのでオススメです。
2の冪以外のビート系/マイクロリズム
基本的にリズムを刻む音符には、2の累乗数※が使われます。
※1(全音符),2,4,8,16…
その他に目を向けても、3連符や6連符がほとんどです。
しかし、それ以外の5連符や7連符(場合によってはさらに細かい分割)を組み込んだビートもあります。
スクエアでもシャッフルでもない独特のノリを生み出せます。
ここ数年以前は、5連符や7連符を組み込んだリズムは非常に珍しかった印象です。
ただ、最近は人気ジャンルの”チルアウト“や”ローファイヒップホップ“などでしばしば用いられるので耳にする機会が増えた気がします。
ずっと真夜中でいいのに。- 低血ボルト
派手な複雑さやスピード感こそはありません。
しかし、打ち込みではなく人力でやろうとすると難易度が高いビートだと思います。
ポリリズム系
手足それぞれで独立したリズムを刻むビートです。
リズム自体の難易度が高いのは当然ですが…
作曲する視点で考えると、それ以外の楽器パートをどう作るかも難しいと思います。
ジェント系/モダンメタル系
この界隈のリズムは一言で説明するのが難しいです。
とにかく難解で複雑なのが特徴です。
よく見られる手法の特徴としては
- 複雑なキメや、ポリリズムを織り交ぜた難解なビート。
- スネアの16分ゴーストノートをキックのスキマに細かく入れる。
- 手足の細かいコンビネーションを使ったフィルイン。
などです。
Jason Richardson – Fragments (Luke Holland, Lukas Magyar, Mark Holcomb)
いろいろなアイデアが詰め込まれたテクニックの幕の内弁当みたいな感じですね。笑
ANIMALS AS LEADERS – Backpfeifengesicht
一聴しただけでは、一体何をやっていのるか困惑する難解さです。笑
さいごに
今回はリズムパターンに絞って紹介しました。
実際にフレーズを作るときは多くの場合、これにフィルインを組み込みます。
最終的にはリズムパターンにせよ、フィルインにせよ色々な楽曲からエッセンスを吸収することで、引き出しを増やせると思います。
手始めにこの記事で紹介してきた曲たちを、今度はフィルインに注目して聴いてみても良いかもしれません。
また、よければ 以下のページも参考にしてみてください。
では!(๑˃̵ᴗ˂̵)و
では!