NEXUS【1曲の中で12キー全てに転調する曲を作ってみた】

Original Music

1曲の中で、12キー全てに転調する曲を作ってみました。

というわけで、まずこちらの曲を聴いてみてください↓

【Musical challenge】NEXUS – KHUFRUDAMO NOTES

Q.転調とは ?

A.「転調」とは、音楽において曲中で調(キー)を変えることです。

※カラオケでのキー変更のように、曲の調 (キー) を丸ごと変える「移調」とは区別されます。

詳しいことが気になる方は、別途ググっていただきますようよろしくお願いいたします。

転調のメリット

・盛り上がる

転調は聞き手にインパクトを与える効果があります。

たとえば、最後のサビで半音上の調 (キー) に転調したり、サビで別の調 (キー) に転調したりする手法はよく用いられます。

椎名林檎 – NIPPON
最後のサビ、3:14あたりでホ長調からヘ長調に転調する。
じん ft.メイリア from GARNiDELiA / daze【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
サビで変ロ短調からへ短調に転調し、サビが終わると変ロ短調に戻る。

・使える音が増える。

むやみやたらに12種類の音を使ってしまうと、調性(調のキャラみたいなもの)が不安定になって、間違っているように聴こえたり、あんまりポップに聴こえなかったりするんですね。

(※「十二音技法」など、あえてそういうこと(調性の破壊)を真面目に全力でやるようなジャンル・手法もあります↓)

Anton Webern – Kinderstück (1924)

ですが、転調をすれば聴き心地はポップ範疇に留めつつ使える音を増やすことができます。

音域的な制限がある中で多彩なメロディ展開をする場合などでも、転調は効果的な手段だと思います。

ウルトラマンガイアed2 Beat on Dream on
小さいころによく聴いた曲
セクションごとに巧みな転調をするのに気づいたのは音楽を学んでから。

転調のデメリット

やりすぎるとくどい

ですが、なにごともやりすぎは良くありません。

(これ以上やるとダメという明確な基準こそないものの)

転調は 「ここぞ!」というときにやると効果的ですが、

「やりすぎると曲が散漫な印象になってしまう危険性がある」というのが通説です。

じゃあ、試しにやりすぎてみよう。

【Musical challenge】NEXUS – KHUFRUDAMO NOTES

ということで作ったのがこの曲です。笑

普通は転調と言っても2、3個のキーを行き来するものがほとんどですが、

この曲は「1曲中で12個全部を回ってやろう」というコンセプトの元で作曲しました。

さて、明らかに転調をやりすぎですが、曲が崩壊しないように頑張ってみました。

いかがでしょうか。

曲が崩壊しないためのアイディア

「いや、崩壊してるやろ」
…ここから下は音楽理論がある程度分かっている人向けの内容です。 これだけ転調をしまくりますが、一応は無茶苦茶しているわけではありません。

曲構成

・イントロKey=Em(#×1)

・リフKey=Am(#♭×0)

・AメロKey=A(#×3)

・B メロKey=A(#×3) →Key=G(#×1) →Key=F(♭×1)

・サビ1 Key=D(#×2)

・リフ Key=Em(#×1) →Key=Gm(♭×2)→Key=B♭(♭×5)

・CメロKey=Cm (♭×3)

・B メロ2 Key=A♭(♭×4)→Key=F#(#×6)→Key=E(#×4)

・サビ2  Key=D♭ (♭×5)

・ラスサビ Key=D(#×2)

・アウトロKey=Em(#×1)→Key=E Lydian(#×5)

(解釈にもよりますけど)16回くらい転調してますね。 しかし、だからこそ!

楽曲構成などその他の部分は奇をてらわず、キャッチーで王道な構成になっています。

それぞれのセクションと転調について

・イントロKey=Em(#×1)

サビのモチーフを一瞬入れてから始まる。僕の中では、サビ始まり=キャッチー。

スウィープが難しい。

↓下属調への転調。次のリフへ行く直前は、「Key=Emだけどsus4で解決を繋留してから、メジャーコード(E)に解決しにいく」というピカルディの三度っぽいことをして、そのコード(E)が次(Am)へのドミナントになるようにしている。

【ももクロMV】猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」 / ももいろクローバーZ(MOURETSU UCHUU KOUKYOUKYOKU DAI NANA GAKUSHOU "MUGEN NO AI”)

曲の一番最後。「ピカルディの三度」の例。
前山田健一さんの曲は色々な飽きさせない仕掛けがあってすごい。

・リフKey=Am(#♭×0)

シンコペーションを使ってキャッチーさを出す。

↓同主調への転調。三度が定まらないパワーコードであることを利用して、コードはそのまま同主調へ転調するスタイル。

・AメロKey=A(#×3)

Aメロはメロディックメジャーのつもりですが、ここらへんも転調してると考えると、さらに転調回数が増える気がします。 4つ打ちでキャッチーさを高める。

↓Bメロに入る時は転調していないが、Bメロ内で2回転調。同じ音型をキーに対してⅣ△7→Ⅲm7で繰り返すごとに、全音下へ転調していく手法(ゼクエンツ)を採用。 結果的にベースが半音下降していって美しいのもポイント。

・B メロKey=A(#×3) →Key=G(#×1) →Key=F(♭×1)

ゲーム音楽っぽい。つまりキャッチー。

↓下属調への転調。 前のキーのⅢ7( Key=F ではA7)を最後に置いておけば、大体次にどこへ転調しても許される気がする。

・サビ1 Key=D(#×2)

コード進行はいわゆる王道進行の変形。少しでもキャッチーさを盛っていく。

↓(平行調の)下属調への転調。最初に使った「sus4で解決を繋留してから、メジャーコードに解決しにいく」 転調と同じやり方で転調することで曲に統一感を持たす。しかし、やっているキーは違う。(最後のコード(B)が次(Em)へのドミナントになるようにしている。)

そして、最初(Key= Amでやった)リフと同じモチーフを(Key=Em)でやる…かと思いきや、連続で短三度上転調をする。

・リフ Key=Em(#×1) → Gm(♭×2) →Key=B♭(♭×5)

みんな大好きゼクエンツ(反復進行)。ヴィヴァルディパイセンも使っているので、盛り上がること間違いなし。 キャッチー。

Vivaldi Four Seasons: "Winter" (L'Inverno), complete; Cynthia Freivogel, Voices of Music 4K RV 297
ヴィヴァルディ四季から冬。1:07辺りからゼクエンツ。数百年経っても色あせないカッコよさ。

次のセクションに行く際に転調はしていないが、転調しまくり感への休憩+ブルーノートを絡めたリフから1/4フィールの重たいノリのリフでノンコード感を醸成して、次の転調へ備える。

・リフ2,3 Key=B♭(♭×5)

一番ヘドバンができそうな場所。キャッチー…ではなく、ここでは作家性が出てしまっている。

半音上のキーへの転調は、最後のサビへの盛り上げではよく使われるが、実はかなりの遠隔調。「最後に半音上げてもう一回サビ!」ではない使い方はあんまりされない。

一応理屈をこねると、この直前のセクションはリフなので、ルートに解決したと解釈すれば、ルートに解決した後はどこへでも無理なく転調できるので問題ない(はず)。

Eric Clapton – Layla
あまり使われないとはいえ、王者クラプトンがサビ転調でやっているからきっと問題はない。
しかし、この曲はサビで半音上行よりも、歌パートに入る時に半音下がる方が珍しい転調な気もする。

・CメロKey=Cm (♭×3)

(多分)洋楽で人気のコード進行を採用。だからキャッチー。 分かりにくいかもしれないが、CメロはAメロのメロディを短調にしたもの。

↓下属調への転調。の曲下属調にばかり転調するので、この辺りになってくるともはや転調と感じないかもしれない。 次のBメロが既に前に出てきているモチーフなので回帰感があり、違和感が少ない。

・B メロ2 Key=A♭(♭×4)→Key=F#(#×6)→Key=E(#×4)

↓一番この曲のキモがこの辺り。1回目のBメロ→サビとメロディはそのままだが、2回目はそれらを全部半音下のキーで展開している。

・サビ2  Key=D♭ (♭×5)

よくある「最後のサビで半音上転調!」だが、実はラスサビは1回目のサビと同じキー。「半音上がった結果が元のキー」というのは中々粋なアイディアではないかと思ったり。

・ラスサビ Key=D(#×2)

下属調への転調。一番最初のイントロのフレーズに戻る。この時点で回ったキーは11個。最後の一つ(#が5個のキー)へはモードチェンジでEマイナーからEリディアンへ行き、フィニッシュ。この手法は映画音楽などでよく使われている気がする。

・アウトロKey=Em(#×1)→Key=E Lydian(#×5)

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

というわけで、長い記事にお付き合いいただきありがとうございました。

理論やセオリー的に良くないことも結局のところはやってみないと分かりませんからね。

1曲中で 12個のキーを回る曲。いかかでしょうか。

少しでも楽しんでいただけたのなら幸いです。

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