このページは、小学校音楽科の「歌唱共通教材」のまとめです。
小学校音楽科の「鑑賞共通教材」だった曲のまとめはこちら↓
中学校音楽科の「共通教材」だった曲のまとめはこちら↓
はじめに
・この記事は、小学校学習指導要領 第2章 各教科 第6節 音楽および、【音楽編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 pp.168-169を参照しました。
・教材としての主なねらいや、指導のポイントは、音楽之友社『初等科音楽教育法[改訂版]』 を参考にしました。
・記事の後半に曲の一覧表と、指導に使えそうなプリント(pdf)類を紹介しています。ご活用ください。
・Spotifyのプレイリスト↓を作成しました。こちらもご活用ください。
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歌唱共通教材
各学年とも、以下で紹介する「歌唱共通教材」と、(普段の学校生活で)”斉唱及び合唱で歌う曲“をまとめて”歌唱教材“として扱うようです。
第1学年
①「うみ」(文部省唱歌)
作曲:井上 武士(いのうえ たけし) 作詞:林 柳波(はやし りゅうは)
- 海の情景を思い浮かべながら、歌えるようにさせる。
- 身体を動かしながら3拍子のリズムを捉えさせる。
- 曲に合わせてリズム唱やリズム打ちができるようにさせる。
②「かたつむり」(文部省唱歌)
- 2拍子のリズムを捉えさせ、身体表現をさせる。
- タンブリン、カスタネット、鈴などを使ってリズム伴奏をさせる。
- リズムの形(付点8分音符と8分音符の違い)を、正しく感じて歌えるようにさせる。
③「日のまる」(文部省唱歌)
作曲:岡野 貞一(おかの ていいち) 作詞:高野 辰之(たかの たつゆき)
- 「日の丸」は日本の国旗であることを理解させる。
- 階名で歌わせたり、楽器で演奏させたりする。
- 歌唱や楽器演奏や身体表現を通して、階名の高低を理解させる。
④「ひらいたひらいた」(わらべうた)
- 歌いながら遊ぶ楽しさを味わわせる。
- わらべうたのふしを経験させる。
第2学年
①「かくれんぼ」(文部省唱歌)
作曲:下總 皖一(しもふさ かんいち) 作詞:林 柳波(はやし りゅうは)
- 付点8分音符と16分音符が連なった”スキップのリズム”を捉えられるようにする。
- リズミカルに歌えるようにさせる。
- リズム唱やリズム打ちをさせる。
②「春がきた」(文部省唱歌)
作曲:岡野 貞一(おかの ていいち) 作詞:高野 辰之(たかの たつゆき)
- 曲の旋律の上行、下行に合った自然な強弱変化をつけて歌えるようにする。
- 歌詞の情景をイメージしながら歌えるようにする。
- 楽器を使って演奏したり、打楽器伴奏を加えた器楽合奏をさせる。
③「虫のこえ」(文部省唱歌)
- 擬声語を生かして、秋の夜の虫の声を表現させる。
- “虫の声のところ”に色々な音(手作り楽器の音など)を当てはめて工夫させ、合奏の面白さを味わわせる。
④「夕やけこやけ」(文部省唱歌)
作曲:草川 信(くさかわ しん) 作詞:中村雨紅(なかむら うこう)
- 夕焼けの様子を思い浮かべながら歌えるようにする。
- 階名唱をさせる。
- 楽器でメロディを弾けるようにする。
第3学年
①「うさぎ」(日本古謡)
- 童話的な世界にひたって、しっとりとしたふしを味わいながら歌わせる。
- 楽器を使って演奏したり、打楽器伴奏を加えた器楽合奏をさせる。
- 陰音階(※)を日本で昔から歌われている”ふし“として感じ取らせる。
※陰音階(都節とも)の構成音は「ミ」が主音の場合、上行形は「ミ-ファ-ラ-シ-レ-ミ」、下行形は「ミ-ファ-ラ-シ-ド-ミ」。
「ド」が主音の場合、上行形は「ド-レ♭-ファ-ソ-シ♭-ド」、下行形は「ド-レ♭-ファ-ソ-ラ♭-ド」。
②「茶つみ」(文部省唱歌)
- 茶摘みの様子を想像しながらリズミカルに歌わせる。
- とくに弱起の部分などを注意させ、リズムを正しく捉えさせる。
- 手遊びを紹介して実際に曲に合わせて遊ばせる。
①「春の小川」(文部省唱歌)
作曲:岡野 貞一(おかの ていいち) 作詞:高野 辰之(たかの たつゆき)
- 曲の旋律の上行、下行に合った自然な強弱変化をつけて歌えるようにする。
- 五線とハ長調の音階(Cメジャースケール)を理解させ、階名視唱をさせる。
- 楽器でメロディーを演奏させる。
④「ふじ山」(文部省唱歌)
作詞:巖谷 小波(いわや さざなみ)
- 曲想を生かして歌えるようにさせる。
- 自然な強弱変化、特に曲の盛り上がりを工夫して表現できるようにする。
- 階名唱や、旋律楽器で演奏できるようにさせる。
第4学年
①「さくらさくら」(日本古謡)
- 陰音階(※)を味わいながら歌えるようにする。
- 陰音階を使った短いメロディを作らせる。
- 同じ陰音階の楽曲で、3年生で学習した「うさぎ」との関連を図る。
※陰音階(都節とも)の構成音は「ミ」が主音の場合、上行形は「ミ-ファ-ラ-シ-レ-ミ」、下行形は「ミ-ファ-ラ-シ-ド-ミ」。
「ド」が主音の場合、上行形は「ド-レ♭-ファ-ソ-シ♭-ド」、下行形は「ド-レ♭-ファ-ソ-ラ♭-ド」。
- 曲の旋律の上行、下行に合った自然な強弱変化をつけて歌えるようにする。
- 筝曲『さくら変奏曲』(宮城道雄)を鑑賞させる。
②「とんび」
作曲:梁田 貞(やなだ ただし(てい)) 作詞:葛原 しげる(くずはら しげる)
- トンビの飛翔する様子を想像し、伸びやかに強弱変化を付けて歌えるようにさせる。
- 「ピンヨロー」の複付点音符のリズムを正確に捉えられるようにさせる。
- 階名唱やリズム唱で音楽活動の基礎能力を伸ばす。
- 旋律楽器に打楽器伴奏をつけて、器楽合奏へ発展させる。
③「まきばの朝」(文部省唱歌)
作曲:船橋 栄吉(ふなばし えいきち) 作詞:杉村 楚人冠(すぎむら そじんかん) ※Wikipediaより
- 牧場の朝の情景を想像しながら歌わせる。
- 強弱変化を付けて歌えるようにさせる。
- 器楽合奏をする。
④「もみじ」(文部省唱歌)
作曲:岡野 貞一(おかの ていいち) 作詞:高野 辰之(たかの たつゆき)
- 情景をイメージしながら、自然で無理のない声で歌えるようにする。
- クレッシェンドやデクレッシェンドを意識して、工夫して歌えるようにする。
- できれば二部合唱(中野義見編曲)↓ができるようにする。
第5学年
①「こいのぼり」(文部省唱歌)
- こいのぼりが翻る様子を想像しながら歌えるようにする。
- 躍動的なリズムを正しく感じ取り、表現を工夫して歌えるようにする。
- 楽器を加えた演奏を工夫してできるようにする。
②「子もり歌」(日本古謡)
- 子もり歌について理解させる。
子守唄(こもりうた、子守歌、英: lullaby)は、子供を寝かしつけたり、あやしたりするために歌われる歌の一種。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%90%E5%AE%88%E5%94%84
世界各国で様々なものが歌い継がれている。
揺籃歌(ようらんか)ともいう。
子供を抱いたり、あるいは揺りかごで揺らしながら歌ったため、そのようなゆっくりしたリズムを持つものが多い。
- 口伝えで伝承されてきた曲なので、いくつものバリエーションがある。そのバリエーションの違いを感じさせる。
- 旋律楽器で演奏したり、助奏を工夫したりして日本的な感じを味わわせる。
①「スキーの歌」(文部省唱歌)
作曲:橋本 国彦(はしもと くにひこ) 作詞:林 柳波(はやし りゅうは)
- 歌詞の内容や情景を理解して、歌えるようにする。
- リズムを正しく把握できるようにする。
- クレッシェンドとデクレッシェンド、タイ、スタッカート、マルカート/アクセントなどを意識して表現できるようにする。
スキー/文部省唱歌(ピアノ伴奏楽譜) https://youtu.be/JMVqqjoH7CA
④「冬げしき」(文部省唱歌)
- 歌詞に出てくる言葉※について解説をする。
※参考→http://www.worldfolksong.com/songbook/japan/fuyugeshiki.htm
- 歌詞の内容や情景を理解して、歌えるようにする。
- 3拍子にのってゆったりとした歌唱表現ができるようにする。
- ヘ長調(Fメジャーキー)の階名唱に慣れさせ、楽器でも演奏できるようにする。
第6学年
①「越天楽今様(歌詞は第2節まで)」(日本古謡)
慈鎮 和尚(じちん おしょう) 作歌
- 曲の山である第4フレーズを、声の響きに注意して伸び伸びと歌えるようにさせる。
- 日本らしい音階のひとつ、律音階(※)の旋律を味わいながら歌わせる。
※律音階は、主音が「ソ」の場合、「ソ-ラ-ド-レ-ミ-ソ」。
主音が「ド」の場合、「ド-レ-ファ-ソ-ラ-ド」
②「おぼろ月夜」(文部省唱歌)
作曲:岡野 貞一(おかの ていいち) 作詞:高野 辰之(たかの たつゆき)
- 歌詞の内容や情景を理解して、歌えるようにさせる。
- 響きを聴きながら二部合唱ができるようにさせる。
- 各動機ごとに強弱や盛り上げ方を工夫して歌えるようにさせる。
③「ふるさと」(文部省唱歌)
作曲:岡野 貞一(おかの ていいち) 作詞:高野 辰之(たかの たつゆき)
- 歌詞の内容や情景を理解して、歌えるようにさせる。
- 響きを聴きながら二部合唱ができるようにさせる。
- 強弱や盛り上げ方を工夫して歌えるようにさせる。
④「われは海の子(歌詞は第3節まで)」(文部省唱歌)
- 歌詞の内容を理解して、リズムに乗って力強く歌えるようにさせる。
- 旋律楽器による演奏や、打楽器伴奏をできるようにさせ、器楽合奏ができるようにさせる。
その他
国歌「君が代」は 、「いずれの学年においても歌えるよう指導すること」とされます。
君が代
こちら↓は僕がAIきりたんに歌わせた「君が代」。
指導に使えそうなページ集
指導に使えそうな資料へのリンクです。
- リズム・トレーニング(教材)
- 音楽の基礎知識「楽譜の読み方(音名・音符・休符・記号・調号・音程)」まとめプリント
- 小学校音楽 令和2年版 授業お役立ちシート集
https://www.kyoiku-shuppan.co.jp/textbook/shou/ongaku/document/ducu2/docu207/m-index.html
- 「ワークシート」一覧
- 音楽教育に役立つおすすめサイト集
歌唱共通教材の一覧
学習する学年 | タイトル | 作詞者 | 作曲者 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | うみ | 林柳波 | 井上武士 | 文部省唱歌 |
1 | かたつむり | 文部省唱歌 | ||
1 | 日のまる | 高野辰之 | 岡野貞一 | 文部省唱歌 |
1 | ひらいたひらいた | わらべうた | ||
2 | かくれんぼ | 林柳波 | 下総皖一 | 文部省唱歌 |
2 | 春がきた | 高野辰之 | 岡野貞一 | 文部省唱歌 |
2 | 虫のこえ | 文部省唱歌 | ||
2 | 夕やけこやけ | 中村雨紅 | 草川信 | |
3 | うさぎ | 日本古謡 | ||
3 | 茶つみ | 文部省唱歌 | ||
3 | 春の小川 | 高野辰之 | 岡野貞一 | 文部省唱歌 |
3 | ふじ山 | 厳谷小波 | 文部省唱歌 | |
4 | さくらさくら | 日本古謡 | ||
4 | とんび | 葛原しげる | 梁田貞 | |
4 | まきばの朝 | 船橋栄吉 | 文部省唱歌 | |
4 | もみじ | 高野辰之 | 岡野貞一 | |
5 | こいのぼり | 文部省唱歌 | ||
5 | 子もり歌 | 日本古謡 | ||
5 | スキーの歌 | 林柳波 | 橋本国彦 | 文部省唱歌 |
5 | 冬げしき | 文部省唱歌 | ||
6 | 越天楽今様 | 慈鎮和尚 作歌 | 日本古謡 | |
6 | おぼろ月夜 | 高野辰之 | 岡野貞一 | 文部省唱歌 |
6 | ふるさと | 高野辰之 | 岡野貞一 | 文部省唱歌 |
6 | われは海の子 | 文部省唱歌 | ||
全学年共通 | 君が代 | 国歌 | ||
赤とんぼ | 三木露風 | 山田耕筰 | 文部省唱歌 | |
海 | 文部省唱歌 | |||
かりがわたる | 文部省唱歌 | |||
汽車 | 大和田愛羅 | 文部省唱歌 | ||
月 | 文部省唱歌 | |||
村のかじや | 文部省唱歌 | |||
村まつり | 文部省唱歌 | |||
雪 | 文部省唱歌 |