この記事では、転調のバリエーションと曲の例を一緒にまとめてみました。
はじめに
純粋に曲のデータだけを知りたい方は、こちらをご覧ください。↓
転調する方法が知りたい方は、こちらの記事↓をご覧ください。
簡単に「転調の間隔」が調べられるウェブアプリ↓を作りました。
記事の内容と併せて活用してください。
転調の表記方法について
僕は、基本的に“調号の変化”で転調の種類を分類しています。
詳しくはこちら↓
その他:注意事項
今回扱う「転調」
この記事では、調号が変わるものを中心に12種類の転調を紹介します。
調号によって分類されるキー(調)は12種類↓です。
つまり、スタート地点に対して11種類の移動パターンがあり、それに平行調への転調を加えると全部で12種類です。
詳しくはこちらの動画にまとめました。↓
今回は、この12種類の転調を参考曲と一緒に紹介していきます。
では!いってみよう!(๑˃̵ᴗ˂̵)و
平行調への転調:♯+0 or ♭+0
まずは、平行調への転調(「#・♭+0の転調」)です。
「#・♭+0の転調」は、調号が変わりません。
例:ハ長調(Cメジャー) ⇔ イ短調(Aマイナー)
構成音が変わらないので、違いがよく分からない場合もあると思います。
そもそも現代の曲は、平行調の関係にある長短調の境界線が曖昧なサウンドが多い気もします。
※構成音が変わらないので、「これは転調じゃない。」と考える人もいます。
音楽理論は人や流派によって解釈にばらつきがあるためです。
ONE OK ROCK – Bedroom Warfare
この曲のキーは、C#mキー(#×4)です。
しかし、中盤の「And I know in the morning we’ll be…」から、少しの間だけEメジャーキー(#×4)に転調して聴こえます。
途中でいきなりパッと明るくなった感じがしませんか?
Perfume – FLASH
こちらは、サビ頭でD♭メジャーキー(♭×5)からB♭mキー(♭×5)へ移行するパターン。
Aメロ、Bメロの長調からの対比で、短調のサビの鋭さが際立っていると感じます。
調号が変わる転調のまとめ
ここからが、調号が変わる転調の紹介です。
#+1の転調
まずは、「+1の転調」です。 主に属調への転調になります。
転調前のキーに♯が1つ増えるだけなので、比較的自然に聴こえる転調と言われます。
ヨルシカ – 雨とカプチーノ
人気の男女2人組グループ”ヨルシカ“のヒット曲。
気怠い雰囲気とノスタルジックな歌詞が魅力的な曲です。
サビでG#mキー(#×5)からD#mキー(#×6)へ「#+1の転調」しています。
坂本九 – 見上げてごらん夜の星を
坂本九さんによる昭和の名曲。
「手をつなごう僕と…」からEmキー(#×1)からBmキー(#×2)へ「#+1の転調」。
…少なくとも僕の耳にはそう聴こえます。
でも、前に見た楽譜では、臨時記号でやり過ごされていました。 笑
椎名林檎とトータス松本 – 目抜き通り
最後のサビの後半に、E♭メジャーキー(♭×3)→B♭メジャーキー(♭×2)へ「#+1の転調」をします。
静かなセクションから始まり、様々な“盛り上げるための仕掛け“が入っている曲です。
転調もその”仕掛け”のひとつですね。
♭+1 の転調
「♭+1 の転調」は、先ほどとは反対に転調前のキーに調号が♭が1つ増えるだけです。
主に下属調への転調になります。
「#+1の転調」の転調と同じく、比較的自然に聴こえやすい転調だと言われています。
UVERworld- AWAYOKUBA-斬る
サビでB♭mキー(♭×5)からD♭mキー(♭×6)へ「♭+1の転調」をしています。
バンドサウンドに、ストリングス・サックス・シンセなどを加えたハイブリッドなアレンジがカッコいい。
MAN WITH A MISSION – Raise your flag
サビでEmキー(#×1)からCメジャーキー(#・♭なし)へ「♭+1の転調」。
転調とともに、目の前の視界が一気に開けたみたいな印象を受けるアレンジですね。
L’Arc~en~Ciel – DRINK IT DOWN
メロトロンの音が印象的なこの曲。
サビでAmキー(#・♭なし)から、Dmキー(♭×1)へ「♭+1の転調」。
曲中を貫くダークな雰囲気を維持しつつ、転調を駆使して曲を盛り上げています。
#+2の転調
次は「#+2の転調」
調号の変化は2つで、主に全音上のキーへ転調します。
僕の印象では、
そこまで遠隔調ではないものの「テクい転調したぞ感」が出る気がしています。
れるりり – 脳漿炸裂ガール
大ヒットボカロ曲。サビでFmキー(♭×4)からGmキー(♭×2)へ「♯+2の転調」。
転調+サビ頭のコードがⅣ△7だとオシャレで洗練された感じがしますね。
後世で”2010年代前半の文化や空気感”を知る良い資料になりそうな歌詞と曲調です。笑
キタニタツヤ – 悪夢
ベーシストとしても活躍するシンガーソングライター、キタニタツヤさんの『悪夢』。
ダークでハイセンスな世界観に引き込まれます。
サビでDmキー(♭×1)からEmキー(♯×1)へ「♯+2の転調」しています。
ジェニーハイ – シャミナミ
異色のメンバーで結成されたバンド、ジェニーハイ。
一癖も二癖もある音楽性が魅力です。
この曲は最初のサビから前奏に入る部分で、Emキー(#×1)からF#mキー(#×3)へ「♯+2の転調」をします。
♭+2の転調
こちらは先ほどとは逆に♭が2つ増える転調。基本的に全音下のキーへの転調です。
「#+2の転調」に比べて少し”控えめ”というか、”なめらかな転調“になりやすい印象です。
DECO*27 – モザイクロール feat. GUMI
ヴォーカロイド黎明期の名曲、DECO*27さんの『モザイクロール』。
サビでAmキー(♯・♭×0)からGmキー(♭×2)へ「♭+2の転調」をします。
KHUFRUDAMO NOTES – NEXUS
拙作。12キー全てに転調する曲です。笑
Bメロで露骨に「♭+2の転調」を2連続でやっているので紹介。
メジャー・セブンコードとマイナー・セブンコードを交互に繰り出し、半音ずつ下降するパターンはなめらかに転調する手法のひとつです。
この曲は他にも転調しまくりなので、個別の記事があります。
また、楽譜もこちら↓からダウンロード可能です。
NEXUS – Music scores(pdf)The Beatles – Penny Lane
多くの転調が用いられており、The Beatlesの楽曲の中でも転調の巧みさがよく話題になるPenny Lane。
サビでBメジャーキー(#×5)からAメジャーキー(#×3)に「♭+2の転調」をしています。
中村佳穂 – きっとね!
独創的な音楽性で注目されているシンガーソングライター中村佳穂さんのこの楽曲。
サビでGmキー(♭×2)からFmキー(♭×4)へ「♭+2の転調」をします。
#+3の転調
「#+3の転調」は、後述の「♭+3の転調」と表裏一体の関係の転調です。
転調感が強いわりに使い勝手がよく、頻繫に使用されます。(僕調べの情報)
PENGUIN RESEARCH – 近日公開第二章
サビでAmキー(#・♭なし)からF#mキー(#×3)へ「#+3の転調」。
PENGUIN RESEARCH(ペンギン リサーチ)は、オススメのバンドです。
キャッチーさとテクニックが融合したカッコいい曲が多いです。
YU-KI – NEXT LEVEL
仮面ライダーカブトのオープニング。
???『おばあちゃんが言っていた…「サビでFmキー(♭×4)からDmキー(♭×1)へ”#+3の転調“をしている。」ってな…。』
欅坂46 – サイレントマジョリティー
この曲も、サビでG#mキー(#×5)からFmキー(♭×4)へ「#+3の転調」をしています。
ただ、転調する直前の部分が転調前のG#mキーからの脈絡が薄く、転調先のFmキーにもあまり行く気配が無いフレーズなので、連続でキーが変わったようなインパクトのある転調になっていると感じます。
Deep in Abyss (アニメ「 メイドインアビス 」オープニングテーマ )
この曲は、イントロのF#mキー(#×3)から、AメロでF#メジャーキー(#×6)に「#+3の転調」しています。
つまり、F#の短調→長調ですね。
このように同じトニックで長調と短調が入れ替わる転調を、同主調転調と言います。
♭+3の転調
主に短3度の関係にあるキーに転調する「♭+3の転調」は、後ほど紹介する「♭+5転調」と並び非常に使用頻度が高い転調です。
特にサビに入るときに転調するパターンでは1番よく使われる気がします。(※僕調べの情報)
使いやすいわりに印象が派手になりやすく、「テクい感」も出る最強の転調先です。
「転調先に迷ったら、とりあえず「♭+3の転調」をしておけば良い」と言っても過言ではない…かもしれない…笑
米津玄師 – LOSER
サビでCmキー(♭×3)からE♭mキー(♭×6)へ「♭+3の転調」 。
「ただどこでもいいから遠くへ行きたいんだ(2:10あたり)」と言いいつつ、増4度上のキーとかには行かない米津玄師さん。笑
スタイリッシュさと泥臭さが混ざり合わさった唯一無二の質感がカッコいい。
ちなみに、彼の作品にはマトリョシカやパプリカなど他にも多数↓「♭+3」の転調を使用した曲があります。
Ado – ギラギラ
2021年『うっせぇわ』で話題沸騰中の注目シンガーAdoさんの『ギラギラ』です。
サビでBmキー(#×2)からDmキー(♭×1)へ「♭+3の転調」をしています。
じん – ロスタイムメモリー
ヴォーカロイド界隈で一大ムーヴメントを起こしたカゲロウプロジェクトの楽曲。
サビでBmキー(#×2)からDmキー(♭×1)へ「♭+3の転調」をします。
Official髭男dism – イエスタデイ
BメロでF#メジャーキー(#×6)からF#mキー(#×3)へと「♭+3」の同主調転調をしています。
(F#の長調→短調の同主調転調)
2019年とても話題のバンド、Official髭男dismです。
評判に違わずお洒落で凝ったアレンジの曲が多いのでオススメです。
#+4の転調
「#+4の転調」は、転調前のキーのⅢにあたる和音を共有しているせいか、わりと無理している感が少なく転調ができるイメージです。
転調のインパクトとなめらかさは基本的にトレードオフ感がしますけれど
この転調は、なめらかでありながらテクい感じを演出できる気がします。
久石譲 – Asian Dream Song
僕が大好きな久石譲さんの曲です。
ただ、ジブリ映画の曲ではないので、知名度は少し低いかもしれません。
5:00あたりのF#mキー(#×3)からB♭mキー(♭×5)への転調が「#+4の転調」です。
同じテーマをキーとアレンジを切り替えて変奏していく手法はとても美しいですね。
ちなみに、この曲はも2:30あたりでもFmキー(♭×4)からCメジャーキー(#・♭なし)へ転調しており、これも 「#+4の転調」です。
ずっと真夜中でいいのに。 – 袖のキルト
“ずとまよ“こと ずっと真夜中でいいのに。の『袖のキルト』。
サビでBmキー(♯×2)からD♯mキー(♯×6)へ「♯+4の転調」をしています。
IU – Good Day
人気K-PopシンガーのIU(アイユー)の楽曲。
サビでEメジャーキー(#×4)からA♭メジャーキーへ「#+4の転調」をしています。
日本語版のアレンジもあります。
John Coltrane – Giant Steps
20世紀のジャズを代表するサックス奏者ジョン・コルトレーンの楽曲。
Bメジャーキー(#×5)と、E♭メジャーキー(♭×3)と、Gメジャーキー(#×1)。
この3つの長3度ずつ離れたキーを「♭+4」と「#+4」にあたる転調で、高速かつ何度も移動しながらアドリブソロを奏でる超絶技巧曲です。
ここまでくると転調というより、1つの環境であるとも考えられます。
(このコルトレーンの手法はColtrane changesとも呼ばれます。)
♭+4の転調
「♭+4の転調」転調前のキーのⅣm(サブドミナントマイナー)にあたる和音を共有しています。
「#+4の転調」と同じく、アレンジ次第ではスッと行ってスッと帰ってこれそうな転調です。
赤い公園 – 絶対零度
サビでF#m(#×3)キーからDm(♭×1)キーへ「♭+4の転調」をしています。
リズム的には、イントロからAメロに入る時に3拍子に変化して、Bメロの途中で4拍子に戻ってサビに突入していきます。
変拍子と転調を駆使して、フワフワと幻想的な展開からクールでパキッとしたサビの展開に持って行く感じがカッコいいです。
Wienners – ドリームビート
でんぱ組.incなどに楽曲提供もされている玉屋2060%さんのバンドWiennersから。
転調しまくりで、Eメジャーキー(#×4)からCメジャーキー(#・♭なし)へのサビ転調以外にも色々な転調を織り交ぜつつキャッチーにまとまっている曲です。
2分ちょっとの短い中に並みの曲の3倍くらいの情報量がありそうです。
上白石萌音 – 一縷
RADWIMPSの野田洋次郎さんプロデュースで上白石萌音さんが歌うこの曲。
サビでDメジャーキー(#×2)からGmキー(♭×2)へ「♭+4の転調」をしています。
美しいストリングスアレンジと儚げな歌声がマッチしたバラードです。
酸欠少女さユり – 航海の唄
TVアニメ「僕のヒーローアカデミア」第4期EDテーマでもあるこの曲。
サビでB♭mキー(♭×5)からF#mキー(#×3)へ転調しています。
#+5の転調
「#+5の転調」は概ねキーが半音下に下がる転調になります。
音楽は基本的に上昇する方が盛り上がるため扱いが難しいとされます。
この後紹介する「半音上への転調(♭+5の転調)」 と表裏一体の関係です。
しかし、「半音上への転調」の人気とは相反して使用頻度の低い転調な気がします。
YOASOBI – 夜に駆ける
短編小説『タナトスの誘惑』を題材に作られた2020年のヒット曲。(リリースは2019年)
落ちサビでCmキー(♭×3)から半音下のBmキー(♯×2)へ「#+5の転調」をします。
そして、その後のラスサビでBmキー(♯×2)からDmキー(♭×1)へあの最強の「♭+3の転調」をしています。
つまり、「#+5の転調」を珍しい転調としてだけではなく、一度屈んでから大ジャンプするための布石としても活用しているわけです。
Eric Clapton – Layla
ジェフ・ベック、ジミー・ペイジと並び世界3大ロック・ギタリストに数えられるエリッククラプトンのLaylaです。
イントロ(Dmキー(♭×1))からAメロに入る場面で半音下のキー(C#mキー(#×4))へ「#+5の転調」をします。
難しい転調を効果的に聴かせるセンスに脱帽です。
LiSA – 炎
大ヒット映画の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の主題歌。
ワンコーラス目、Dmキー(♭×1)のBメロから半音下のC#mキー(#×4)のサビへ「#+5の転調」をしています。
「#+5の転調」の沈み込むようなサウンドを上品に組み込んだ巧みなアレンジです。
Trigger – 佐久間貴生
特撮ドラマ『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』オープニングテーマ。
サビでEmキー(#×1)からD#mキー(#×6)へ「#+5の転調」をしています。
転調部分のコード進行は「B→C#sus4→C#」みたいな感じだと思います。
(転調前の視点で「Ⅲ→#Ⅳsus4→#Ⅳ」、 転調後の視点で「Ⅳ→Ⅴsus4→Ⅴ」)
転調前のドミナントと転調後のドミナントを連結する形の間に、さらにsus4を挟んでスムーズに転調している印象ですね。
♭+5の転調
「♭+3の転調」と並んで、使用頻度の高い転調といえば、この「♭+5の転調」。
その中でも、半音上のキーへの転調ではないでしょうか!(※僕調べの情報)
Mr.Children – HANABI
平成ポップスを代表するバンド、Mr.Childrenの『HANABI』。
最後のサビでD♭メジャーキー(♭×5)からDメジャーキー(#×2)へ 「♭+5の転調 」 をしています。
この最後のサビで転調する手法は王道中の王道です。
「転調ってよく分からないけど、この転調は分かる!」
という方も多い気がします。
これらの「最後のサビでそのままズラすパターンの転調」は転調しても同じメロディーを繰り返します。
したがって、転調によるインパクトと、分かりやすさを両立できるのが強みだと思います。
和声で言うところの「カノン進行」、リズムで言うところの「4つ打ち」、メロディで言うところの「ミレド始まり」など…
たくさん使われる手法には人を惹きつける魅力があるのです。
ただ、“王道”だからこそ”ありきたり”と表裏一体であり、使い手のセンスが問われるのかもしれません。
ラスサビ転調は必ず半音上に行くわけではない。
この「最後のサビでそのままズラすパターンの転調」の行き先は、半音上のキーがよく選択されます。
そのため、「ラスサビ転調=半音上転調(♭+5の転調)である」と勘違いされている方も居るように見受けられます。
しかし、必ずしも半音上のキーへ転調する必要はありません。
半音上のキーに行っていない曲も多くあります。
Tempalay – 大東京万博
ラスサビで半音上に転調と思いきや、半音下へ転調(#+5)パターン。
Dメジャーキー(#×2)→D♭メジャーキー(♭×5)
BTS – Dynamite
↑最後のサビで半音上に転調と思いきや、全音上に転調(#+2)パターン。
Eメジャーキー(#×4)→F#メジャーキー(#×6)
Dream Theater – Moment Of Betrayal
ラスサビで半音上に転調と思いきや、短3度上のキーへ転調(♭+3の転調)パターン。
Emキー(#×1)→Gmキー(♭×2)
先ほど紹介した『YOASOBI – 夜に駆ける』も短3度上(♭+3)でしたよね。
millennium parade – FAMILIA
ラスサビで半音上に転調と思いきや、長3度上のキーへ転調(#+4の転調)パターン。
D♭メジャーキー(♭×5)→Fメジャーキー(♭×1)
最後のサビで半音上以外の手法で 「♭+5の転調」をしている曲
…話を戻します。
「♭+5の転調」は最後のサビでよく使われるとはいえ、元のキーに対して5個も音が変わる遠隔調への転調です。
したがって
「♭+5」の転調は、「最後のサビで半音上のキーに転調する」以外の使い方をした場合、また味わいの違う転調になります。
King Gnu – Slumberland
2019年話題のバンド、King Gnu(キング ヌー)。
この曲は最後のサビではなく普通のサビ転調で 「♭+5」の転調を使っています。
(B♭mキー(♭×5)からBmキー(#×2)へ)
アレンジも相まって、下からジワっとせり上がるような一筋縄ではいかない感じを演出していますね。
嵐 – Love so sweet
国民的アイドル嵐の代表曲とも言えそうな『Love so sweet』。
この曲も実はサビでBメジャーキー(#×5)からCメジャーキー(#・♭なし)へ 「♭+5」の転調 をしています。
丁寧に転調への流れを組み立てているので、かなりスムーズに転調している印象です。
♯・♭+6の転調
最後に紹介するのは「♯・♭+6の転調」です。
五度圏で見た場合、反対側に位置する最も遠く離れたキーへの転調です。
構成音が一気にガラッと変わるので、多少キツいサウンドになると感じる方もいるようです。
SHISHAMO – 明日も
サビで、D♭メジャーキー(♭×5)からGメジャーキー(#×1)へ転調します。
この曲を作曲されたSHISHAMOの宮崎朝子さんは、「音楽理論も勉強したこと無いし、あんまりよく分からずに作っていた」との旨をTwitterで言っていました。
ただの天才のようです。
ももいろクローバーZ – 行くぜっ!怪盗少女
ヒャダインこと前山田健一さん作曲のこの曲。
サビでAmキー(#・♭なし)からE♭mキー(#×6)へ転調しています。
転調の他にも色々なギミックがあり、まるで遊園地みたいなアレンジは流石です。
Chinozo – グッバイ宣言
2021年、TikTokでよく耳にする気がするこの曲。
サビでDmキー(♭×1)からG#mキー(#×5)へ転調しています。
全体的にキャッチーでポップな曲調になっており、人気なのも頷けます。
SixTONES – Imitation Rain
X JAPANのYOSHIKIさんプロデュースのこの曲。
落ちサビでCmキー(♭×3)からF#mキー(#×3)へ「♯・♭+6の転調」をして、さらにその後のラスサビで再び「♯・♭+6の転調」をしてCmキー(♭×3)に戻ります。
X JAPANのファンはニヤッとするアレンジを入れつつ、攻める所は攻めた楽曲になっていますね。
まとめ
実際に改めて全てのバリエーションの転調を並べて聴いてみると
「あれ…?別にどこに転調しても、良いやん…?」と僕は感じました。
また、同じ調号の変化をする転調でもアレンジ次第でかなり印象が変わると分かりました。
よく「転調は近親調へ~」みたいな話があります。
たしかに、クラシック的な価値観ではそうなのかもしれません。
…しかし、その考えだけに囚われるのも良くないなと改めて感じました。
ちなみに、現在データベースにある曲から算出した転調パターンの使用割合はこちら↓。
おまけ
転調する方法が詳しく知りたい方は、こちらも是非!↓
※こちらの記事でしか紹介していない転調している曲もあります。
手軽に「転調の間隔」を調べられるウェブアプリを作りました!無料です!
転調しまくる曲に興味がある方はこちらも。
みんなで使える「転調している曲」のデータベース
僕が作った「転調している曲」のSpotifyとYouTubeのプレイリストです。
この記事で紹介した曲も含め、どちらも200曲くらいあります。
自分の資料用にちょくちょく更新しているので活用してください。