「転調まとめ」の記事がとてもよく読まれているみたいです。(ありがとうございます。)
最近だとこんなところに引用されていました。
こんな感じで適当にエゴサーチをして感想を見たりしているのですけれど
なぜ、半音上のキーへの転調を「+1」ではなく「♭+5の転調」と書くのか?
「調号の変化」で書くより、「キーの±」で書いた方がパッと見て分かりやすいのに!
と疑問を持つ方がいるようです。
「”半音上のキーへの転調“」を「+1」と書かれているのはよく見かけます。
分かりやすいことも否定しません。
ただ、僕があえて「♭+5の転調」のように「調号の変化」を書いているのには理由があります。
結論から言うと、
よくあるそのままメロディをスライドさせる転調以外の転調の場合は
むしろ「キーの±」で表した方が分かりにくいから です。
特に、転調の前後で別の調性やモードに切り替わる場合です。
たしかに、こんな感じの
Cメジャーキー(#・♭×0)からD♭メジャーキー(♭×5)への転調ならば
「♭+5の転調」と書くより「+1」と書いた方が分かりやすく感じるかもしれません。
しかし、音楽の中で使われる転調は そのような転調ばかりではありません。
D♭メジャーキー(♭×5)の主な平行調(レラティブ・キー/モード)を目を向けるだけでも
・D♭メジャー
・E♭ドリアン
・Fフリジアン
・A♭ミクソリディアン
・B♭マイナー
・Cロクリアン
この7種類が想定できます。
詳しくは↓
だから、たとえばCメジャー(#・♭×0)から Cロクリアン(♭×5)へ
転調(モードチェンジ)する場合は「+1」と書かれても、よく分かりませんよね。
このように特に前後のフレーズに脈絡のない転調や、モードチェンジを絡めた場合は
むしろ「キーの±」で表記された方が分かりにくくなるわけです。
ですから、細かいことを言うと「”半音上のキーへ転調“」という表現も
「+1」と同じ意味合いなので、本当は避けるべき表現かもしれないなと思います。
もちろん、これは「”半音上のキーへ転調“」に限った話ではなく
「”全音下のキーへの転調“」みたいな表現にも言えることです。
一方、慣れるまでは少しややこしいかもしれませんが、
「調号の変化」での表現はこれら全ての転調を同じ考えの延長線上で扱えます。
また、実際に楽譜を書く場合を考えるならば、
どんな転調であっても「調号の変化」で捉えることに慣れていた方が有利です。
そして、「キーの±」は
基本的には転調ではなく移調を表すときに使うものだと僕は理解しています。
恐らく、ラスサビでよく使われるそのままズラす転調(シーケンシャル・モジュレーション)が
移調に近いことをやっているために「キーの±」の方が分かりやすいと考える人がいるのだと思います。
もちろん、そんな複雑な転調をする曲はそこまで多くないのも事実ですし、
「キーの±」で普通に意味が伝わることも事実でしょう。
しかし、僕はこのような理由で「調号の変化」で転調を考えた方が良いと思っている
という話でした!(๑˃̵ᴗ˂̵)و