メトリックモジュレーションを解説【便利計算フォーム付き】

音楽理論・DTM関連

みなさんこんにちは!クフルダモノーツYoshito Kimura(k1mu)です!

 

今回は、複雑なリズムを作るときによく使われるテクニック、
“メトリックモジュレーション”を解説します。

“メトリックモジュレーション”とは?

まず、いきなりですが…

同じ音価(音の長さ)を持つ音符”は、いくつも存在すること をご存知でしょうか。

たとえば

「BPM=1204分音符」
「BPM=90符点8分音符」
「BPM=608分音符」

どれも500ミリ秒同じ音価を持つ音符です。

このように、違うBPMで、同じ音価を持つ音符は複数存在します。

 

そして、このリズムの性質を利用して、

BPMが変わったように錯覚させる
もしくは前後のBPMに関連性を持たせた上でテンポチェンジをする手法
メトリックモジュレーションと言います。(※)

※「BPMが変わったように錯覚すること」と、「前後のBPMに関連性を持たせたテンポチェンジ」は、表裏一体の関係です。
最終的に2つの現象を区別するのは「使い手・聴き手の解釈」です。

 

その名の通り「リズムの転調」のような概念とも言えるでしょう。

 

たとえば、この曲↓はAメロに対してBメロのリズムのノリが倍の長さになっています 。

星野源 – 恋 (Official Video)

いわゆる、”ハーフタイム“のリズムですよね。

このようなハーフタイムや、ダブルタイム(倍テン)”と呼ばれるリズム
メトリックモジュレーション“の一番単純なカタチだと解釈できます。

 

…ただ、通常は「メトリックモジュレーション」と言う場合、
もう少し複雑な関係性にある”同じ音価を持つ音符”への解釈の変更を指すことが多いです。

Drum Lesson: Understanding Metric Modulation

たとえば、この動画のようなリズムパターン。

途中、ハイハットで刻んでいるビートが8分音符から3連符に変化しています。

そして、刻むビートに合わせてスネアドラム(アクセント)の位置も変えることで、
テンポ自体が変わったように聴こえます。

これが、典型的な”メトリックモジュレーション“を使ったリズムトリックです。

“メトリックモジュレーション”を使用したリズムトリック

先ほどのリズムはあくまで一例です。

メトリックモジュレーション“を使ったリズムのアイデアは、無数に考えられます。

したがって、最終的には「数値計算」「アイデア次第」になります。

ただ、基本的な仕組みはドラム単体の音源で聴くと分かりやすいのでを用意しました。

以下の2つのリズムはどちらも同じBPM=128で演奏されています。

譜例① 「符点8分音符」を1拍と捉えたリズムパターン

譜例② 「4分音符」を1拍に捉えたリズムパターン

同じBPMにもかかわらず、この2つのリズムから感じられるリズムのノリや速さは明らかに違うと思います。

  

それは「アクセント(スネアドラム)の位置」や「ビートの刻み方」が違うためです。

具体的には、

譜例①は「符点8分音符」を1拍と捉えたリズムパターン

譜例②は「4分音符」を1拍に捉えたリズムパターン

になっています。

  

メトロノームありで交互に演奏すると、こうなります。

いかがでしょうか。

特に譜例①のリズムの浮遊感は「”メトリックモジュレーション”使ってます!感」があります。

 

作曲への応用 Tips

ちょっとした作曲への応用例を紹介します。

この二つのリズムは、バスドラムの打点が一緒です。

このようなリズムパターンは、
リフやフレーズをバスドラムのリズムに合わせると
リフの聴こえ方が途中で変わったような面白い効果を演出できます。

使用例

実際の曲中での”メトリックモジュレーション“の使用例を紹介します。

Dream Theater – Moment Of Betrayal

Dream Theater – Moment Of Betrayal (Audio)

この曲の2回目のAメロ部分(2:00~)
ドラムによる”メトリックモジュレーション“を使ったリズムトリックが使用されています。

Dream Theater – Moment Of Betrayal(2:00~)

僕の耳が正しければこんな感じ。

まるで細かくテンポが速くなったり遅くなったりしているようですよね。

KHUFRUDAMO NOTES – YAMATO

【Japanese Djent】KHUFRUDAMO NOTES – YAMATO【TAM100】

メトリックモジュレーション“を利用した整合性を持ったテンポチェンジの例です。

拙作、KHUFRUDAMO NOTESの「YAMATO

中間部分(1:44~)BPM=150からBPM=112.5にテンポチェンジをしています。

これは、最初のBPM(=150)「1拍3連」の音価が、
テンポチェンジ後のBPM(=112.5)「16分音符」の音価と等しくなる関係になっています。

KHUFRUDAMO NOTES – KEGON

【DTM】作曲をするときに考えていることを話します【Japanese Djent】KHUFRUDAMO NOTES – KEGON

KHUFRUDAMO NOTESの「KEGON」は、
中間部分でBPM136からBPM=204にテンポチェンジして、またBPM=136に戻ります。

これはBPM=136の1拍6連符と、BPM=204の16分音符が等しくなる関係になります。

動画の37分あたりから、
テンポが戻る部分のメトリックモジュレーション
“変拍子”を絡めたテンポチェンジの解説をしています。

坂東慧(T-SQUARE) – Paradigm

【坂東慧(T-SQUARE)】裏アングル公開!!ドラムソロ分析♯6『Paradigm』(live at 西川口Hearts 2018)

2:59あたりから、3連を使った分かりやすい”メトリックモジュレーション“です。

その他にもドラムソロ中に、
多数”メトリックモジュレーション“を使ったフレーズが散りばめられています。

Gergo Borlai – Metric Modulation Madness

Gergo Borlai – Metric Modulation Madness (Drumeo)

曲名から「”メトリックモジュレーション”を使いまくる決意」が溢れ出ているこの曲。笑

メトリックモジュレーション“を使用した浮遊感を覚えるリズムをたくさん聞くことができます。

同じテンポ(BPM)で、色々なリズムの解釈をするとこんな感じになる ことがよく分かる曲です。

Q.テンポチェンジに使うには?

テンポチェンジに使うためには「任意の音符同士が、同じ音価になるBPM」を計算する必要があります。

メトリックモジュレーションの計算方法

任意の音符同士が、同じ音価になるBPM」の計算方法は、少しややこしいです。

 

まず、テンポチェンジ前の音符
テンポチェンジ後にメトリックモジュレーションの関係になる音符
分音符”で無理やり表したもの(※)をy分音符とします。

 

(※)例:4分音符→そのまま”4分音符”、2拍3連符→”6分音符”など

よく使えそうなy分音符の値

8/3… (符点4分音符)
16/8… (符点8分音符)
8… (8分音符)
16… (16分音符)
12… (1拍3連)
20… (1拍5連)

などがあると思います。

※他の値を求める方法は、こちらの記事を参考にしてください。

 

これを踏まえた上で…

y分音符の音価と、テンポチェンジ前の音符の音価が等しくなるBPMを求める計算式は

60000(ms)÷ (テンポチェンジ前の音符の音価(ms)×y÷4) 
y分音符テンポチェンジ前の音符と等しくなるBPM

となります。

 

…と言われても、まだピンときませんよね?笑

 

たとえば、テンポチェンジ前のテンポBPM=120だとします。

 

このBPM=1204分音符の音価(500(ms))と、
同じ音価を持つ符点4分音符(8/3分音符)が存在するBPMを求めたい場合、計算は

60000(ms) ÷ (500(ms) × 8/3 ÷4) = 60000(ms) ÷ 333.33333… = 180(BPM)

となり

BPM=1204分音符等しい音価を持つ符点4分音符が存在するのは、BPM=180だ」と分かります。

メトリックモジュレーションの計算フォーム

…とは言え、毎回こんな面倒な計算やりたくないですよね?

 

そこで、「BPM」と「テンポチェンジ前の音符の種類」を指定するだけで、
「メトリックモジュレーションできる主な音符とBPM」を提案してくれる計算フォームを作りました!!!

 

ご自由にお使いください!(๑˃̵ᴗ˂̵)و

※計算フォームを何度も使用する場合、いちいちここまでスクロールするのは面倒でしょうから、
↑こちらの計算フォームのみのページをブックマークすることをオススメします。

  

  

 

リズムについてさらに詳しく書いた記事もあります。

興味のある方は是非こちらもどうぞ!

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