今回は、そう…!
ポリリズムについての記事です。笑
- ポリリズム(polyrhythm)とは何か?
- 「ポリリズム」の作り方
- 「1拍」の捉え方の違い によって分類する「ポリリズム」
- ①「短い周期で一巡するポリリズム」
- ②「長い周期で一巡するポリリズム」
- 「長い周期と短い周期で一巡するポリリズムが混在するポリリズム」
- 音楽は「人間仕様」の活動
ポリリズム(polyrhythm)とは何か?
まず、「ポリリズム」とは何でしょうか。
“ポリ(poly)“は、”複数の“、”多数の“などを意味する言葉です。
あの「ポリゴン(多角形)」や「ポリマー(重合体)」の”ポリ“でもあります。
つまり、ポリリズムとは、複数の「リズムのまとまり」が重なって進行しているリズムを指します。
ポリリズムの定義
ただ、この説明だけだと…こんな感じ↓の4分音符と8分音符が同時に鳴っているリズムもポリリズムになってしまいます。
しかし、こんな単純な組み合わせを”ポリリズム“と呼ぶ人は恐らくいません。
そこで、”重ね合わせるリズムのまとまり”を”比率“に直した時に、
①どちらも2以上
② ”互いに素”
この2点を、ポリリズムの定義に含めようと思います。
※互いに素…ある整数a, b を共に割り切る正の整数が 1 のみであること (最大公約数が1)
「ポリリズム」の作り方
では、実際にポリリズムを作り方を見ていきます。
ポリリズムを考える時は、まず重ね合わせる「リズムのまとまり」の最小公倍数を求めます。
たとえば、①「2」のまとまりのリズムと、②「3」のまとまりのリズムでポリリズムを作りたい場合…
①と②の最小公倍数は「6」になりますよね。
したがって、最小単位となる「6」を基準として、リズムを重ねていきます。
●○ ●○ ●○
①「2」のまとまりのリズムは、「6」を2つ飛ばしで「3」拍で一巡し、
●○○ ●○○
②「3」のまとまりのリズムは、「6」を3つ飛ばしで「2」拍で一巡する と分かります。
こちらのページも併せて活用すると分かりやすいと思います。↓
「1拍」の捉え方の違い によって分類する「ポリリズム」
ポリリズム作り方が分かったところで、もう一つ考えたいテーマがあります。
それは、感覚的には扱いが異なる「ポリリズム」です。
たとえば
↓①このようなポリリズム(0:01~)と
DCPRG – 構造Ⅰ (現代呪術の構造)
※バスドラム(キック)とベースフレーズのズレに注目。↑
↓②このようなポリリズム(8:35~)の違いです。
Dream Theater – Beyond This Life
※ギターリフとキーボードソロのズレに注目。↑
聴いてみてどう感じたでしょうか?
少し違う種類のものに感じられると思います。
ただ、数学的な構造は基本的に同じです。
違いは、「1拍」に複数の解釈が生まれるかどうかの差だと僕は考えています。
僕はこの2種類のポリリズムを
①「短い周期で一巡するポリリズム」
②「長い周期で一巡するポリリズム」
と勝手に呼び分けて分類しています。
【追記】
こちらの動画では、①をポリリズム、②をポリメーターとし「2つは違うものだ」と紹介されています。
ただ、僕としてはどちらも数学的な構造は同じなので、厳格に分類するべきかどうかは微妙だと思います。
①「短い周期で一巡するポリリズム」
ポリリズムは最小公倍数を求めて基準の数字を決めます。
この基準の数字を刻むリズムが、16分音符など細かい音符だった場合
一巡するスピードが速くなり「1拍」に複数の解釈が生まれやすくなります。
たとえば、こんなリズムを考えます。
↓これは4のまとまりのリズムと3のまとまりのリズムのポリリズムです。
(4と3の最小公倍数(=基準の「12」)を16分音符で刻んでいる形です。)
このリズムは「4分音符」と「付点8分音符」、どちらを「1拍」にしても成り立ちます。
「4分音符」 を「1拍」にすれば3拍子、
「付点8分音符」 を「1拍」にすれば4拍子です。
こんな感じで「1拍」に複数の解釈が生まれやすいものが「短い周期で一巡するポリリズム」の特徴です。
DCPRG – 構造Ⅰ (現代呪術の構造)
この曲のイントロは、バスドラム(キック)に注目すると5拍子、ベースに注目すると4拍子に聴こえるポリリズムになっています。
(ベースのフレーズは8分音符が使われているので、内容的には5と8のポリリズムです。)
つまり
こんな感じか
こんな感じですかね。
どちらの視点もあり得ると思います。
ちなみに、複合拍子の6拍子や、12拍子は「ポリリズム」を表すときに用いられます。
(よく「約分したら同じじゃね?」と言われる「6/8拍子」と「3/4拍子」の違いは、ポリリズムであるか否かです。)
この流れに従うと、このフレーズは5と8のポリリズムなので
40/32拍子と書いた方がいいのかもしれません。
②「長い周期で一巡するポリリズム」
一方、「1拍」に複数の解釈が生まれにくいものが、「長い周期で一巡するポリリズム」 です。
たとえば、これは↓上が「5」、下が「4」のポリリズムです。
しかし、この場合、「5」と「4」どちらのリズムのまとまりにせよ、「1拍」は4分音符で感じる人が大半ではないでしょうか。
もちろん、「20/4拍子」と書いて”全音符を「1拍」“と捉えれば、計算上は「短い周期で一巡するポリリズム」と同じ意味になります。
しかし、全音符は一般的なBPMで“1拍”として捉えるには遅すぎます。
Dream Theater – Beyond This Life
この曲のキーボードソロ・セクションは、
- ギターリフ:17/8拍子(9/8+4/4)×4
- キーボードソロ:4/4拍子×8 + 2/4拍子(2/4拍子×17)
のポリリズム(8分音符×68で一巡する)になっています。
しかし、どちらでリズムを感じるにしても、4分音符か8分音符を1拍とするのが自然だと思います。
「長い周期と短い周期で一巡するポリリズムが混在するポリリズム」
Animals As Leaders – Ka$cade
捉え方によっては、①と②の内容が混在するもう1段階複雑なポリリズムも考えられます。
たとえば、この曲の最初の方の部分は(おそらく)「20/16拍子(4と5のポリリズム)×2+6/4拍子」と4/4拍子の2重構造でポリリズムを作っています。
こう考える理由は、俯瞰して見ると4/4拍子で収まっており、大枠で見れば変拍子で捉えない方が適している部分が多いからです。
リズムが多層的に重なり合っている状態なので、かなり複雑に聴こえるはずです。
たしかに、このリズムは数学的な視点ではただの②「長い周期で一巡するポリリズム」だと解釈もできそうです。
しかし、人間が理解する場合は分けて解釈した方が分かりやすいと思います。
音楽は「人間仕様」の活動
音楽には「ある視点では同じでも、別の視点では違うもの」にカテゴライズされるものが結構あります。
理由は、「音楽」が人間の”認知能力“や”感覚の分解能“に合わせた「人間仕様」の活動だからです。
たとえば、「音楽」が成り立つ音の範囲は意外と狭く、20Hzから20000Hzです。
これは、秒間20回から2万回くらいの媒質(主に大気)の圧力変化しか
人間が「音」として認識できないためです。
(人の可聴領域(音が聞こえる範囲)は約20Hzから20000Hz)
この範囲外の媒質の圧力変化は「音」として知覚できません。
しかし、物理現象としては同じものです。
他にも音楽では「旋律(メロディ)」と「和音(ハーモニー)」は別の要素として考えます。
しかし、(人工的に作り出した理想的な純音を除いて)自然界の音には全て倍音が含まれるので物理現象としては「旋律(メロディ)」と「和音(ハーモニー)」は同じです。
※詳しくはこちら↓
こういった部分が音楽の魅力である一方、捉えどころのなさに繋がっているのかもしれません。
Q.「ポリリズム」はどうやって感じればいいのか?
ポリリズムは2つ以上のリズムを同時並行的に演奏します。
演奏者やリスナーは、どうやって複数のリズムを感じればいいのでしょうか。
僕の答えは、「ポリリズムを”1つのリズム”として考えて、必要に応じて捉え方を切り替える。」です。
“隠し絵”を例に「ポリリズム」を考える
この絵は「若い女性」と「老婆」のどちらにも見える『妻と義母』と呼ばれる有名な絵です。
このような絵を、”隠し絵”や“多義図形(ダブル・イメージ)“と言います。
この絵、 「若い女性」と「老婆」 のどちらにも見える…とはいえ、両方同時には見えないと思います。
つまり、その一瞬だけで考えれば
①「若い女性」か「老婆」の絵
②「1つのこういう模様の絵」
のどちらかの捉え方しかできないはずです。
世界は広いので、本当に”同時に認識できる人”もいるかもしれません。
しかし、少なくとも僕には無理なので、ポリリズムも同様に考えています。
たとえば、これはシンバルが4、スネアドラムが5で進行するポリリズムの譜面です。
まずは、”隠し絵 を「1つの模様の絵」 だと考える”のと同じく、このリズムを「1つのリズム」だと考えて練習します。
その上で、身体がこのリズムに適応“してきたらそれぞれ4と5のリズムで捉え直せるようにします。
つまり、演奏者はポリリズムを「1つのリズム」として捉えて演奏し、自由にその瞬間のリズムの感じ方を切り替えられれば問題なくポリリズムを演奏できる
これが僕の考えです。
たとえば
この曲の6:12~のフレーズは、6:25~あたりでシンバルの刻みと他の楽器とのキメがポリリズムになっていきます。
しかし、僕の中では「1つの長いリズムパターン」として認識しながら叩いています。
普段「1拍」を感じながら16分や付点8分音符を演奏しているのも、複雑さが違うだけである意味「同じ考え方かな?」とも思います。
ポリリズムを考えるメリットは?
ポリリズムを考えるメリットは、複数の視点からリズムを眺められる点です。
「ポリリズムの感覚」を体得すれば、1つのリズムに対して異なるノリ方ができます。
たとえば、「12」周期のリズムは、2拍子でも、3拍子でも、4拍子でも、6拍子でもノれます。
色々なリズムパターンを考えられるのはもちろん、同じ曲をさまざまな視点から楽しめるわけです。
ポリリズムの種類
さて、ではここからポリリズムの種類をまとめていきたいと思います。
基本的に「短い周期で一巡するポリリズム」を考える
とは言っても、数値計算すればいくらでもポリリズムの組み合わせは考えられます。
したがって、基本的に「短い周期で一巡するポリリズム」に絞って考えます。
「短い周期で一巡するポリリズム」は、最小単位とする数の数値が大きくなり過ぎるとリズムの刻みが細かくなり過ぎて演奏や知覚が非現実的になりますよね。
そこで、演奏に32分音符以上の細かい音符を使うのは稀なので、これをひとつのボーダーラインとします。
つまり、最小公倍数が32以下かつ、2以上9以下の互いに素な数の組み合わせを考えます。
すると以下のようになります。
同じ数同士をかけた答えのマスと、数を反対にかけた重複する答えのマスは灰色で塗っています。
このかけ算表の緑色で塗られた部分は、「互いに素な数を掛け合わせた数」を示しています。
この中から30以下の数(太字で書かれた数字)のマスを数えると、
①6,②10,③12,④14,⑤15,⑥18,⑦20,⑧21,⑨24,⑩28,⑪30の
計11種類であるとわかります。
したがって、「短い周期で一巡するポリリズム」の場合、かなり変な曲でもこの11種類のどれかの数字を使っている可能性が高いです。。
というか、本当によく使われるものに限定すると この中でも一握りだと思います。 笑
(と言いつつ、上で紹介した「DCPRG – 構造Ⅰ (現代呪術の構造)」の最小公倍数は40でしたけど笑)
同じ数字を使っているリズムなら、ポリリズムにできる
ここで、ちょっと脱線っぽい話題なのですが…
上の表を見ると、何も色がついていないマスがあります。
たとえば、「6と2をかけ合わせた12」のマスには色がついていません。
これは、この部分が「6拍の8分音符の数(2連×6拍=12)」、もしくは「2拍6連符(6連×2拍=12)」のようなリズムを表しているためです。
どちらも、比率は1:3(もしくは3:1)になるので、ポリリズムにはなりません。
しかし、同じ「12」でも「3と4をかけ合わせた12」は、“2以上“で、“互いに素”な数の組み合わせなのでポリリズムになります。
この関係にあるリズムは、解釈を変更すればポリリズムにできるわけです。
ポリリズムの組み合わせ一覧
…を見る前に…
ポリリズムの表記と記号の説明
ポリリズムの表記
こちらの記事↑で現在の記譜法の「5」への適応力の低さを書きました。
加えて、現在の記譜法はポリリズムに対しても適応力が低めだと思います。
たとえば、4と3のポリリズムは
こういう風↓に書いても(BPMを調整すれば)同じ意味になります。
他にも
このリズムは一見めちゃくちゃに見えます。
しかし、よく見るとシンバルが4、スネアドラムが5、バスドラムが3ずつ進んでいます。
(つまり、最小公倍数「48」を16分音符の細かさで一巡しているポリリズムです。)
上記の譜面を見ただけで、「ポリリズムだ」と理解できるでしょうか?
…慣れている人は説明されなくても分かるかもしれません。
しかし、 コードネームを読み取るようにパッと見ただけで理解するのは難しい気がします…。
(リズム方面を詳しく勉強する人が比較的少ないのもあるかもしれないですけど…)
そんなわけで、個人的には「ポリリズムに関しては一般的な楽譜で書くより、図で見る方が分かりやすいのでは?」思っています。
これより下では、それぞれの視点から見たリズムの進み方を記号で図示したものを一緒に紹介します。
では、いってみよう!(๑˃̵ᴗ˂̵)و
記号・略称の説明
★… 同時に音を出す
●… 片方だけ音を出す
▲… 片方だけ音を出す
〇… 音を出さない
lcm… least common multiple(最小公倍数)の略
*… 素数同士を組み合わせたポリリズム
追記:2021/9/12
これより下の内容を、より視覚的に理解できるメトロノーム・アプリを作りました。
こちらのアプリを使いつつ読むと、これより下の内容が分かりやすいと思います。
2と3のポリリズム lcm:6*
みんな大好き6/8拍子。
特にクラシック音楽では、このポリリズムを指して「ヘミオラ」と呼んだりします。
数少ない市民権を得ているポリリズムです。笑
むしろ、この組み合わせだけはポピュラー過ぎてもはやポリリズムだと思われていない気もします。笑
邦ロックでは1曲まるごとではなく、よく曲の一部分で使われる気がします。
RADWIMPS – オーダーメイド
曲の最後のサビで、4/4拍子から6/8拍子になっています。
ASIAN KUNG-FU GENERATION – 遥か彼方
こちらも、曲の後半で4/4拍子から6/8拍子になります。
UVERworld – 激動
こちらは、1回目のBメロだけが6/8拍子になっています。
Dream Theater – Sacrificed Sons
6:53からのモチーフに対して、ひと回し目は3拍子、ふた回し目は2拍子に聴こえるドラムパターンを叩いています。
お手本のような「6」のリズムの使い方です。
2拍子で感じた場合
★○▲
●▲○
3拍子で感じた場合
★○
▲●
▲○
2と5のポリリズム lcm:10*
2と3のポリリズムの大人気ぶりに比べると、かなりマイナーな組み合わせです。
あの有名なPerfumeの「ポリリズム」のポリリズム部分の最初の方は、
キックと歌詞にだけに注目した場合、2と5の組み合わせとして考えられると思います。
Perfume – ポリリズム
実際は、これに加えてベースラインが16分3つ分(付点8分音符)の間隔で鳴っているので
- 3/16(シンセ・ベース)
- 4/16(キック)
- 10/16(歌詞)
の3層のポリリズムになっています。(たぶん)
Arch Echo – Immediate Results!
ただのポリリズムではなく変拍子やスリップビート的な要素も入っているので、少し分かりにくいと思いますが、かっこいい曲なので紹介。笑
2拍子で感じた場合
★○▲○▲
●▲○▲○
5拍子で感じた場合
★○
▲○
▲●
▲○
▲○
3と4のポリリズム lcm:12
解釈の違いこそあれど、「12」を使ったリズムは多いです。
たとえば、4/4拍子の「シャフル」や「スウィング」や「3/4拍子の16分音符」です。
また、「2と6の組み合わせ」でも作れます。
しかし、「12を3と4で捉えているポリリズム」は意外に少ないです。
つまり、裏を返せば”手軽にねじ込める可能性が高いポリリズム“です。笑
Dream Theater – Bridges in the Sky
6:01あたりから2回目のサビに入る前に、
12を4拍子から3拍子に捉え直したリズムパターン(フィルイン)をドラムが叩いています。
12/8拍子を使ったリズムトリックです。
3拍子で感じた場合
★○○●
▲○●○
▲●○○
4拍子で感じた場合
★○○
●▲○
●○▲
●○○
2と7のポリリズム lcm:14*
数学的には良い感じのポリリズムなのですが、
2と7が数値として離れすぎているので、使い勝手が悪くほぼ使われない気がします。
2拍子で感じた場合
★○▲○▲○▲
●▲○▲○▲○
7拍子で感じた場合
★○
▲○
▲○
▲●
▲○
▲○
▲○
3と5のポリリズム lcm:15*
構造だけを見ると使い勝手はそこまで悪くなさそうです。
しかし、世の中には圧倒的に4拍子の曲が多いので
2の累乗数が出てこないリズムは使用頻度が著しく下がる印象があります。
Dave Brubeckの『Take Five』のような5拍子のシャッフル(3×5)などであれば、
無理やり3と5で捉え直したポリリズムを作れます。笑
Dave Brubeck – Take Five
3拍子で感じた場合
★○○▲○
●▲○○▲
●○▲○○
5拍子で感じた場合
★○○
▲○●
▲○○
▲●○
▲○○
2と9のポリリズム lcm:18
…参考曲は!見つかりませんでした!
多分理由としては、2と7のポリリズムと同様に2と9が離れすぎているためだと思います。
つまり、2つの数の差が離れている and 素数同士の組み合わせじゃないと
ただでさえ無い需要がさらに減るようです。
さらに言えば、32分音符ですら1拍の8等分ですから、「9」は相当こだわりがないと使わない気がしますね…。
ちなみに「18」は「3と6」でも作れます。
しかし、互いに素ではないのでポリリズムにはなりません。
2拍子で感じた場合
★○▲○▲○▲○▲
●▲○▲○▲○▲○
9拍子で感じた場合
★○
▲○
▲○
▲○
▲●
▲○
▲○
▲○
▲○
4と5のポリリズム lcm:20*
4と5は、まだギリギリよく使われる組み合わせだと思います。(感覚の麻痺)
たとえば、アフリカの民族音楽には普通に5連符のノリを用いたものがあります。
とはいえ…現在の日本では少なくとも好事家向けのリズムだとは思います。笑
4拍子で感じた場合
★○○○▲
●○○▲○
●○▲○○
●▲○○○
5拍子で感じた場合
★○○○
▲●○○
▲○●○
▲○○●
▲○○○
3と7のポリリズム lcm:21*
このあたりになってくると数値計算をしないとまず思い浮かばないリズムですね…
使っている曲を発見するより、自分で作った方が早い気もします…
やっている人を見つけました笑
3拍子で感じた場合
★○○▲○○▲
●○▲○○▲○
●▲○○▲○○
7拍子で感じた場合
★○○
▲○○
▲●○
▲○○
▲○●
▲○○
▲○○
3と8のポリリズム lcm:24
3と8って意外と”互いに素“なんですよ。笑
8が2の3乗なので、32分音符×3拍や、1拍3連×8拍などから
このポリリズムを作り出せますね。
3拍子で感じた場合
★○○●○○●○
▲●○○●○○●
▲○●○○●○○
8拍子で感じた場合
★○○
●○○
●○▲
●○○
●○○
●▲○
●○○
●○○
4と7のポリリズム lcm:28
こちらも使用頻度が限りなく0に近いようなリズムですが笑
4を使っているため、意外と使おうと思えば使えなくはないかもしれません。
探したらやっている人がいました。やはり世界には変人がいますね。
4拍子で感じた場合
★○○○▲○○
●▲○○○▲○
●○▲○○○▲
●○○▲○○○
7拍子で感じた場合
★○○○
▲○○●
▲○○○
▲○●○
▲○○○
▲●○○
▲○○○
5と6のポリリズム lcm:30
“32分音符の壁”の内側にある、最も細かいポリリズムの組み合わせです。
しかし、意外と6連符の5つ割りとかで使っているドラマーは見かけます。
ただ、フィルインの中とか飛び道具系の扱いなので、曲のメインのリズムに据えられているパターンは知りません笑
5拍子で感じた場合
★○○○○▲
●○○○▲○
●○○▲○○
●○▲○○○
●▲○○○○
6拍子で感じた場合
★○○○○
▲●○○○
▲○●○○
▲○○●○
▲○○○●
▲○○○○
Tempo Advance – Metronome
さて、大半の人はもう既にお腹いっぱいだと思います。
しかし、まだ物足りないそこのあなた!
Dream TheaterのMike Mangini先生が監修したメトロノームアプリ
Tempo Advance – Metronome をオススメします。
1~20までの数同士のポリリズムの鳴らせる変人御用達のメトロノームです。
…とはいってもリズムを確認したり、練習したりするのに純粋に使いやすいので、
そこまでヤバいリズムを使わない方にもオススメのメトロノームアプリです。
僕も使っています。
追記:2021/9/12
ちなみに、僕が作ったメトロノーム・アプリでも同じような内容が再現できます。
マンジーニ先生の使用例
6と19のポリリズム lcm:114
動画内の「one・two・three・four・five・six・seven・eight・nine・ten」というカウントは
最小単位2つ分を「1拍」として数えています。
だから、10拍(2×10)のうち最後の「ten」だけが半拍(1)になり、
20-1で全部で19になっています。
これを6回繰り返すと、最小公倍数の114になり帳尻が合います。
ただ、6でとるにせよ19でとるにせよ…概ね「1拍」 の解釈は共有されているので、僕はこれは「長い周期で一巡するポリリズム」 に含まれるのかなと考えています。 (たぶん)
6拍子で感じた場合
★○ ○○ ○○ ▲○ ○○ ○○ ▲○ ○○ ○○ ▲
●○ ○○ ○▲ ○○ ○○ ○▲ ○○ ○○ ○▲ ○
●○ ○○ ▲○ ○○ ○○ ▲○ ○○ ○○ ▲○ ○
●○ ○▲ ○○ ○○ ○▲ ○○ ○○ ○▲ ○○ ○
●○ ▲○ ○○ ○○ ▲○ ○○ ○○ ▲○ ○○ ○
●▲ ○○ ○○ ○▲ ○○ ○○ ○▲ ○○ ○○ ○
19拍子で感じた場合
★○○○○○
▲○○○○○
▲○○○○○
▲●○○○○
▲○○○○○
▲○○○○○
▲○●○○○
▲○○○○○
▲○○○○○
▲○○●○○
▲○○○○○
▲○○○○○
▲○○○●○
▲○○○○○
▲○○○○○
▲○○○○●
▲○○○○○
▲○○○○○
▲○○○○○
20まで考えると…
ちなみに Tempo Advanceのように、20までの数同士のポリリズムを全て考えるとこうなります笑
赤が互いに素な数かつ、素数同士をかけたもの
黄色が互いに素な数かつ、どちらかが素数のもの
緑色が互いに素な数だが素数同士ではないものの組み合わせです。
この場合、想定されるポリリズムは108種類になります。
赤の互いに素な数かつ、素数同士をかけたものは
どちらも素数なので、このポリリズムは2種類の解釈しかありません。
黄色が互いに素な数かつ、どちらかが素数のものと
緑色が互いに素な数だが素数同士ではないものは
かけ合わせた数同士の2種類の他にも解釈が考えられます。
まぁ…「長い周期で一巡するポリリズム」 であっても
このくらいまで想定しておけば大丈夫でしょう。(何が?)
まとめ
さて、いかがだったでしょうか。
「使えるポリリズム」とか銘打っていたものの後半は
「こんなリズム使わねーよ」
みたいなものばかりでしたね。笑
結論としては、
・「短い周期で一巡するポリリズム」 は11種類、
・「長い周期で一巡するポリリズム」も108種類くらい
・小学校で習った掛け算の表は、ポリリズムを考える時に役立つ
という感じです。
リズムに探求心のある方には、こちらの記事もオススメです。
おまけ
…32分音符の壁を越えたいあなたへ。
最後におまけとして、
最小公倍数32を超えていて
ギリ 「短い周期で一巡するポリリズム」 で使えそうなポリリズムを3つ紹介します。
5と7のポリリズム lcm:35*
5拍子で感じた場合
★○○○○▲○
●○○▲○○○
●▲○○○○▲
●○○○▲○○
●○▲○○○○
7拍子で感じた場合
★○○○○
▲○●○○
▲○○○●
▲○○○○
▲●○○○
▲○○●○
▲○○○○
4と9のポリリズム lcm:36
4拍子で感じた場合
★○○○▲○○○▲
●○○▲○○○▲○
●○▲○○○▲○○
●▲○○○▲○○○
9拍子で感じた場合
★○○○
▲○○○
▲●○○
▲○○○
▲○●○
▲○○○
▲○○●
▲○○○
▲○○○
6と7のポリリズム lcm:42
6拍子で感じた場合
★○○○○○▲
●○○○○▲○
●○○○▲○○
●○○▲○○○
●○▲○○○○
●▲○○○○○
7拍子で感じた場合
★○○○○○
▲●○○○○
▲○●○○○
▲○○●○○
▲○○○●○
▲○○○○●
▲○○○○○