ポリリズムの組み合わせ まとめ

音楽理論・DTM関連

どうも、KHUFRUDAMO NOTESのk1muです。

今回は、そう…!ポリリズムについての記事です。笑

今回考える「ポリリズム」

ポリリズムとはなんでしょうか。

基本的に「複数のリズムのまとまり」が同時並行的に進行しているリズムを指します。

ただ、この説明だけだと「ただ4分音符と8分音符の混ざったリズム(比率が1:2のリズム)」などもポリリズムに含まれてしまう気がします。

なので今回は、

重ね合わせる2つのリズムを比率に直した時に、

どちらの数も2以上

かつ

同時進行するリズムのまとまり(の数)が ”互いに素”である

こともポリリズムの定義に含めようと思います。

※互いに素…ある整数a, b を共に割り切る正の整数が 1 のみであること (最大公約数が1ということ) 

※互いに素な数の最小公倍数は2つの数の積に等しいという性質があります。


また、(こちらの記事で詳しく書いていますが)

僕はポリリズムは人間の感覚と照らし合わせて

「1拍」に複数の解釈が生まれやすい「短い周期で一巡するポリリズム」と、

1拍 の解釈は共有されている「長い周期で一巡するポリリズム」

があると考えています。

(この区分は僕が目安として考えているだけで絶対的な区分ではありません。)

今回まず考えるのは、「短い周期で一巡するポリリズム」 についてです。

なぜ11種類なのか

ポリリズムはを考える時は

重ね合わせるリズムのまとまり(の数)の最小公倍数を求めて、その数を最小単位とします。

ただ、この数が大きくなるとリズムの刻みが細かくなりすぎて

演奏や知覚が非現実的になります。

そこで、一般的に演奏に32分音符以上の細かい音符を使うことは稀であることから

これをひとつのボーダーラインとして

最小公倍数が32以下かつ、2以上9以下互いに素な数の組み合わせで考えます。

すると以下のようになります。

オレンジで塗られたマスは素数を表しています。
同じ数をかけた答えのマスと、数を反対にかけた重複する答えのマスは灰色で塗っています。

このかけ算表の緑色で塗られた部分

「互いに素な数を掛け合わせた数」を示しています。

この中から30以下の数(太字で書かれた数字)のマスを数えると、

6,②10,③12,④14,⑤15,⑥18,⑦20,⑧21,⑨24,⑩28,⑪30

11種類であることがわかります。


したがって、「短い周期で一巡するポリリズム」の場合、

かなり変な曲でも、この11種類のどれかの数字を使ったものがほとんどのはずです。

むしろ この11種類から考えられるパターンでも、ほとんどが相当複雑に聞こえるものばかりです。

ぶっちゃけ、本当によく使われるものに限定するとこの中でも一握りだと思います。 笑

同じ数字を使っているリズムなら無理やりポリリズムにできる

ちなみに、上の表を見ると何も色がついていないマスがあるかと思います。

たとえば、「6と2をかけ合わせた12」のマスには何も色がついていませんが

これは、この部分が「6拍の8分音符の数(2連×6拍=12)」、

もしくは「2拍6連符(6連×2拍=12)」のような関係にあるリズムを表しているためです。

どちらのリズムも比率としては1:3(もしくは3:1)になり、

片方が「1(2以上ではない)」になるので、ポリリズムにはなりません

しかし、「3と4をかけ合わせた12」は同じ「12」でも

「3」と「4」が 2以上互いに素な数の組み合わせなのでポリリズムになります。

ということは、逆に実際の曲の中で

「6と2 による組み合わせの12」を使ったリズムが出てきた場合

この仕組みを利用してリズムを捉え直し、3と4ポリリズムが作れるということも分かります。

ポリリズムを考えるメリット

複数の視点からリズムを眺めることができる。

ポリリズムは1つのリズムに対して異なるノリ方ができます。

この考え方を身に付けることで色々なリズムパターンを考えることができるのはもちろん、

同じ曲をさまざまな視点から楽しむことができるようになります。

たとえば、上でも取り上げたように「12」という周期で一括りにできるリズムは、

2拍子でも3拍子でも4拍子でも6拍子でも(あまりないですが12拍子でも)ノることができます。

ポリリズムの表記について

こちらの記事でも書いたのですが、ポリリズムは楽譜に書くと色々な書き方をすることができてしまって、おそらく結構分かりにくいです。

たとえば、3と4のポリリズムの場合(BPMを調整すれば)

この二つは同じリズムになります。

ということで、個人的には

ポリリズムは楽譜で書くよりもむしろ記号などで見る方が分かりやすいのでは?

と思っています。

そのため、これから色々な組み合わせのポリリズムを紹介していきまが、

それぞれの視点から見たリズムの進み方を、記号で図示したものを一緒に紹介します。

記号の説明

★…同時に音を出す

●…片方だけ音を出す

▲…片方だけ音を出す

〇…音を出さない

lcm… least common multiple (最小公倍数)の略

*…素数同士を組み合わせたポリリズム

ポリリズムの組み合わせ一覧

2と3のポリリズム lcm:6*

みんな大好き6/8拍子。数少ない市民権を得ているポリリズムです笑

もはやポリリズムだと思われていないような気もします。

邦ロックでは1曲まるごとというより、曲の一部分で使われることが多いイメージです。

オーダーメイド RADWIMPS MV
曲の最後のサビで4/4拍子から6/8拍子になる
ASIAN KUNG-FU GENERATION 『遥か彼方』
こちらも曲の後半で4/4拍子から6/8拍子になる
UVERworld 『激動』
こちらは1回目のBメロだけが6/8拍子になっている。
Mike Portnoy – Sacrificed Sons – DrumCam
お手本のような6のリズムの使い方

2拍子で感じた場合

★○▲

●▲○

3拍子で感じた場合

★○

▲●

▲○

2と5のポリリズム lcm:10*

2と3のポリリズムの大人気ぶりに比べると かなりマイナーな組み合わせです。

あの有名なPerfumeの「ポリリズム」のポリリズム部分の最初の方は

キックと歌詞にだけに注目した場合、2と5の組み合わせとして考えることができると思います。

[Official Music Video] Perfume「ポリリズム」
ベースラインが16分で3つ分(符点8分音符)で進行するので
実際には3(ベース)と4(キック)と10(歌詞)の3層のポリリズムになっている。(たぶん)
Arch Echo – Immediate Results! (Official Video)
変拍子やスリップビート的なものも入っているので分かりにくいと思いますが、かっこいい曲なので紹介

2拍子で感じた場合

★○▲○▲

●▲○▲○

5拍子で感じた場合

★○

▲○

▲●

▲○

▲○

3と4のポリリズム lcm:12

4 : 3 Polyrhythm – with bounce visuals to help you keep time – Bounce Metronome Pro

細かいノリや解釈の違いこそあれど、4/4拍子の「シャフル」や「スウィング」、3/4拍子を16分音符で叩くなど「12」を使ったリズムは多いです。

しかし、12を3と4のポリリズムで捉えている曲というのは意外に少なかったりします。

つまり、裏を返せば、手軽にねじ込むことができる可能性が高いポリリズムだということです。笑

また、先ほども説明したように「12」という数は「2と6の組み合わせ」でも作ることができます。

Bridges in the Sky
4と3が同時進行するわけではありませんが、この曲のこのあたりから2回目のサビに入る前に、
12という数を4拍子から3拍子に捉え直したリズムパターン(フィルイン)をドラムが叩いています。

3拍子で感じた場合

★○○●

▲○●○

▲●○○

4拍子で感じた場合

★○○

●▲○

●○▲

●○○

2と7のポリリズム lcm:14*

数学的には良い感じのポリリズムなのですが、

2と7が数値として離れすぎているので使い勝手が悪くほぼ使われない気がします。


2拍子で感じた場合

★○▲○▲○▲

●▲○▲○▲○

7拍子で感じた場合

★○

▲○

▲○

▲●

▲○

▲○

▲○

3と5のポリリズム lcm:15*

5 : 3 Polyrhythm – with bounce visuals to help you keep time – Bounce Metronome Pro

構造だけを見ると使い勝手はそこまで悪くなさそうですが、世の中には圧倒的に4拍子の曲が多い中で、2の累乗数が出てこないリズムは使用頻度が著しく下がる印象があります。

Dave BrubeckのTake Fiveは5拍子のシャッフルなので、このようなリズムであれば、捉え直すことで3と5のポリリズムを作ることができます。

Dave Brubeck – Take Five

3拍子で感じた場合

★○○▲○

●▲○○▲

●○▲○○

5拍子で感じた場合

★○○

▲○●

▲○○

▲●○

▲○○

2と9のポリリズム lcm:18

…参考曲は!見つかりませんでした!

多分理由としては、2と7のポリリズムと同様に2と9という数が離れすぎているためだと思います。

つまり、2つの数の差が離れている and 素数同士の組み合わせじゃない

ただでさえ無い需要がさらに減るようです。

さらに言えば、32分音符ですら1拍の8等分ですから、

9という数は相当こだわりがないと使わない気がしますね…。

また、「18」という数は「3と6」でも作れるのですが、

これは 「1拍3連符×6拍」や「1拍6連×3拍」のような形となるのでポリリズムにはなりません。

比較的一般的な範囲で使おうと思うと

3/4拍子などで1拍6連×3拍を捉え直すとワンチャンあるかもしれません笑


2拍子で感じた場合

★○▲○▲○▲○▲

●▲○▲○▲○▲○

9拍子で感じた場合

★○

▲○

▲○

▲○

▲●

▲○

▲○

▲○

▲○

4と5のポリリズム lcm:20*

How to play a 5:4 Polyrhythm – Animation 3D Bounce Metronome Pro

4と5というのは、まだギリギリよく使われる組み合わせだと思います。(感覚の麻痺)

たとえば、アフリカの民族音楽は5連符のノリを用いたものがあったりします。

とはいえ…現在の日本では少なくとも好事家向けのリズムだとは思います。笑

DCPRG – 構造Ⅰ (現代呪術の構造)~Live Version
分かりやすい4と5のポリリズム

4拍子で感じた場合

★○○○▲

●○○▲○

●○▲○○

●▲○○○

5拍子で感じた場合

★○○○

▲●○○

▲○●○

▲○○●

▲○○○

3と7のポリリズム lcm:21*

このあたりになってくると数値計算をしないとまず思い浮かばないようなリズムですね…

この辺になると、使っている曲を発見するより自分で作った方が早い気もしますね…

やっている人を見つけました笑


3拍子で感じた場合

★○○▲○○▲

●○▲○○▲○

●▲○○▲○○

7拍子で感じた場合

★○○

▲○○

▲●○

▲○○

▲○●

▲○○

▲○○

3と8のポリリズム lcm:24

3と8って意外と”互いに素”なんですよ。笑

8が2の3乗なので、32分音符×3拍や、1拍3連×8拍などから

このポリリズムを作り出すことができますね。


3拍子で感じた場合

★○○●○○●○

▲●○○●○○●

▲○●○○●○○

8拍子で感じた場合

★○○

●○○

●○▲

●○○

●○○

●▲○

●○○

●○○

4と7のポリリズム lcm:28

こちらも使用頻度が限りなく0に近いようなリズムですが

4を使っているため意外と使おうと思えば使えなくはないかもしれません。

Can you dance a 7:4 polyrhythm? (Horace Bray can)

探したらやっている人がいました。やはり世界には変人がいるものです。


4拍子で感じた場合

★○○○▲○○

●▲○○○▲○

●○▲○○○▲

●○○▲○○○

7拍子で感じた場合

★○○○

▲○○●

▲○○○

▲○●○

▲○○○

▲●○○

▲○○○

5と6のポリリズム lcm:30

Polyrhythm 6 : 5 split into its 30 subdivisions – with Bounce Metronome Pro

32分音符の壁を目前にして一番細かい最小単位を持つポリリズムの組み合わせですが

意外とこの組み合わせは6連符の5つ割りとかで使っているドラマーは見たことがあります。

ただ使っているとは言ってもルーディメンツとかフィルインとかなので、曲のメインのリズムに据えられているパターンは僕は知りません笑


5拍子で感じた場合

★○○○○▲

●○○○▲○

●○○▲○○

●○▲○○○

●▲○○○○

6拍子で感じた場合

★○○○○

▲●○○○

▲○●○○

▲○○●○

▲○○○●

▲○○○○

Tempo Advance – Metronome 

さて、大半の人はもう既にお腹いっぱいだと思うのですが、まだ物足りないそこのあなた。

‎Tempo Advance - Metronome
‎Tempo Advanceは、マイク・マンギーニー Mike Mangini(ドリームシアター、ドラマー・オブ・ザ・イヤー*)が承認するメトロノームアプリで、ユーザーのミュージシャンシップを次のレベルに導きます。Tempo Advanceは、iPad、4インチディスプレイ、改善されたセットリスト•ナビゲーションおよび...

Dream TheaterのMike Mangini先生が監修したメトロノームアプリ

Tempo Advance – Metronome をオススメします。

1~20までの数同士のポリリズムの鳴らすことができる変人御用達のメトロノームです。

とはいってもリズムを確認したり、練習したりするのに純粋に使いやすいので、

そこまでヤバいリズムを使わない方にもオススメのメトロノームアプリです。僕も使っています。

マンジーニ先生の使用例

Mike Mangini Tempo Advance 6:19 to warm up Illumination Theory
6と19のポリリズム(最小公倍数114)を叩くマンジーニ先生。
Mike Mangin using Tempo Advance to warm up for Shattered Fortress
数学的に成り立つのと実際にやるのは別だよ…

6と19のポリリズム lcm:114

動画内の「one・two・three・four・five・six・seven・eight・nine・ten」というカウントは

最小単位2つ分を「1拍」と数えてカウントしています。

だから、10拍(2×10)のうち最後の「ten」だけが半拍(1)になっていて、20-1で全部で19になっているわけです。

これを6回繰り返すことで最小公倍数の114になり帳尻が合います。

ただ、6でとるにせよ19でとるにせよ、概ね「1拍」 の解釈は共有されているので僕はこれは「長い周期で一巡するポリリズム」 に含まれるのかなと考えています。 (たぶん)


6拍子で感じた場合

★○ ○○ ○○ ▲○ ○○ ○○ ▲○ ○○ ○○ ▲

●○ ○○ ○▲ ○○ ○○ ○▲ ○○ ○○ ○▲ ○

●○ ○○ ▲○ ○○ ○○ ▲○ ○○ ○○ ▲○ ○

●○ ○▲ ○○ ○○ ○▲ ○○ ○○ ○▲ ○○ ○

●○ ▲○ ○○ ○○ ▲○ ○○ ○○ ▲○ ○○ ○

●▲ ○○ ○○ ○▲ ○○ ○○ ○▲ ○○ ○○ ○

19拍子で感じた場合

★○○○○○

▲○○○○○

▲○○○○○

▲●○○○○

▲○○○○○

▲○○○○○

▲○●○○○

▲○○○○○

▲○○○○○

▲○○●○○

▲○○○○○

▲○○○○○

▲○○○●○

▲○○○○○

▲○○○○○

▲○○○○●

▲○○○○○

▲○○○○○

▲○○○○○

20まで考えると…

ちなみに Tempo Advanceのように、20までの数同士のポリリズムを全て考えるとこうなります笑

赤が互いに素な数かつ、素数同士をかけたもの

黄色が互いに素な数かつ、どちらかが素数のもの

緑色が互いに素な数だが素数同士ではないものの組み合わせです。

この場合、想定されるポリリズムは108種類になります。


赤の互いに素な数かつ、素数同士をかけたもの

どちらも素数なので、このポリリズムは2種類の解釈しかありません。

黄色が互いに素な数かつ、どちらかが素数のもの

緑色が互いに素な数だが素数同士ではないもの

かけ合わせた数同士の2種類の他にも解釈が考えられます。

まぁ…「長い周期で一巡するポリリズム」 であっても

このくらいまで想定しておけば大丈夫でしょう。(何が?)

まとめ

さて、いかがだったでしょうか。

「使えるポリリズム」とか銘打っていたものの後半は

「こんなリズム使わねーよ」

というものばかりでしたね。

結論としては、

「短い周期で一巡するポリリズム」11種類

「長い周期で一巡するポリリズム」108種類くらい

小学校で習った掛け算の表はポリリズムを考える時に役立つ

という感じです。


リズムについて探求心のあるあなたには、こちらの記事もオススメです。

おまけ

…32分音符の壁を越えたいあなたへ。

最後におまけとして最小公倍数32を超えていてギリ 「短い周期で一巡するポリリズム」 で使えそうなポリリズムを3つ紹介します。

5と7のポリリズム lcm:35*

How to play a 5:7 Polyrhythm – Animation – 3D Bounce Metronome Pro

5拍子で感じた場合

★○○○○▲○

●○○▲○○○

●▲○○○○▲

●○○○▲○○

●○▲○○○○

7拍子で感じた場合

★○○○○

▲○●○○

▲○○○●

▲○○○○

▲●○○○

▲○○●○

▲○○○○

4と9のポリリズム lcm:36

4拍子で感じた場合

★○○○▲○○○▲

●○○▲○○○▲○

●○▲○○○▲○○

●▲○○○▲○○○

9拍子で感じた場合

★○○○

▲○○○

▲●○○

▲○○○

▲○●○

▲○○○

▲○○●

▲○○○

▲○○○

6と7のポリリズム lcm:42

Polyrhythm Exercise – Morph from 6:7 to 3:7 & back through other polyrhythms – Bounce Metronome Pro

6拍子で感じた場合

★○○○○○▲

●○○○○▲○

●○○○▲○○

●○○▲○○○

●○▲○○○○

●▲○○○○○

7拍子で感じた場合

★○○○○○

▲●○○○○

▲○●○○○

▲○○●○○

▲○○○●○

▲○○○○●

▲○○○○○

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