今回は、「ケーデンス(終止)」についてまとめてみました。
それでは早速、いってみよう!(๑˃̵ᴗ˂̵)و
ケーデンスとは?
英語のWikipediaを見てみると
In Western musical theory, a cadence (Latin cadentia, “a falling”) is “a melodic or harmonic configuration that creates a sense of resolution [finality or pause]”.
西洋音楽の理論では、ケーデンス(ラテン語のcadentia「落ちる」)とは、「解決感(終止感や休止感)を生み出す旋律や和声の構成」である
https://en.wikipedia.org/wiki/Cadence#Authentic_cadence
とあります。
つまり、ケーデンスは「”ひと区切りついた感”を出す音の流れ」を指す用語で、日本語での「終止」と同じか、非常に近い概念だと思います。
4種類のケーデンス
ケーデンスは、和音の流れによって
- ①オーセンティック(Authentic)
- ②ハーフ(half)
- ③プレイガル(plagal)
- ④ディセプティブ(deceptive)
の4種類に大別されるようです。
①オーセンティック・ケーデンス
ドミナント(Ⅴ)からトニック(Ⅰ)へ進むケーデンスです。
よく用いられる和製英語“ドミナント・モーション“に近い概念だと思います。
そして、ベース音やトップノートの動きによりさらに以下の分類をされます。
パーフェクト・オーセンティック・ケーデンス
いわゆる「完全終止」。特徴は
- ルート音=コードの最低音である。
- トニックが最後の和音の最高声部(トップノート)である。
インパーフェクト・オーセンティック・ケーデンス
いわゆる「不完全終止」。特徴は
- ルート音=コードの最低音である。
- トニックが最後の和音の最高声部(トップノート)ではない。
イヴェイド・ケーデンス
ベースを段階的に下行させる都合を優先して、ドミナントから「ドミナント・セブンの第三転回形」を経て「トニックの第一転回形」に着地する形です。
間に「ドミナント・セブンの第三転回形」を挟んで“ケーデンスを回避”しているため、イヴェイド・ケーデンス(回避された終止)と呼ぶらしいです。
②ハーフ・ケーデンス(Half cadence)
いわゆる「半終止」。基本的に、V(ドミナント)で終止するもの全般を指します。
その前に置かれる和音は何でもOK。
ケーデンスの名前を持つものの、“解決した感“が無いのが特徴です。
以下では特に名前がついている半終止を紹介します。
フリジアン・ハーフ・ケーデンス
「フリギア終止」とも。
由来は、ルネサンス期(15世紀)のフリジアン・モードの終止形に似てるからだとか。
マイナーキー目線だと、Ⅵの第一展開形からⅤへ進むパターン。
(その前にⅤmを入れると、さらに古風な感じになる。)
平行調のメジャーキー目線で記述すると
Ⅲm → Ⅱm/Ⅳ → Ⅲ
みたいなサウンド。
Cメジャーキー(#・♭×0)の環境で表すと
Em → Dm/F → E
リディアン・ケーデンス
マイナーキー目線だと、#Ⅵの第一展開形からⅤへ進むパターン。
平行調のメジャーキー目線で記述すると
#Ⅱm/#Ⅳ → Ⅲ
みたいなサウンド。
Cメジャーキー(#・♭×0)の環境で表すと
D#m/F# → E
ブルゴーニュ・ケーデンス
ブルゴーニュ楽派の音楽でよく聴かれるケーデンス。
平行調のメジャーキー目線で記述すると
Ⅵm(♭5)/#Ⅳ → Ⅲ
みたいなサウンド。
Cメジャーキー(#・♭×0)の環境で表すと
Am(♭5)/F# → E
プレイガル・ハーフ・ケーデンス
Ⅴではなく、Ⅳで終わるバージョンの半終止。
主に
I → IV
の流れを指すようです。
Cメジャーキー(#・♭×0)の環境で表すと
C → F
③プレイガル・ケーデンス(Plagal cadence)
いわゆるアーメン終止(変終止・変格終止)。
アーメン・ケーデンスとも呼ばれます。
讃美歌の最後に入っている「アーメン」部分によく使われますね。
Ⅳ → Ⅰ
Cメジャーキー(#・♭×0)の環境で表してみると
F → C
みたいな感じになります。
マイナー・プレイガル・ケーデンス
Ⅳm → Ⅰ
の流れ。
通常のプレイガル・ケーデンスより強力な進行感を持つ。
Cメジャーキー(#・♭×0)の環境で表してみると
Fm → C
サブドミナントマイナーからトニックへ解決するサウンドですね。
④ディセプティブ・ケーデンス(Deceptive cadence)
いわゆる「偽終止」。
ドミナントから、トニック(Ⅰ)以外へ進行するケーデンスです。
Ⅴ → Ⅵm
Ⅵmへ解決します。
Cメジャーキー(#・♭×0)の環境で表してみると
G → Am
みたいな感じ。
Pink Floyd – Bring The Boys Back Home
Ⅴ → ♭Ⅵ
♭Ⅵへ解決します。
Cメジャーキー(#・♭×0)の環境で表してみると
G → B♭
みたいな感じ。
Ⅴ → Ⅵ(マイナーキー視点)
Ⅳへ解決します。
平行調のメジャーキー視点で記述すると、
Ⅲ → Ⅳ
みたいなサウンド。
Cメジャーキー(#・♭×0)の環境で表してみると
E → F
みたいな感じ。
まとめ
僕の理解が間違っていなければ…ざっくり
- ①オーセンティック(Authentic):ドミナント→トニックで終わる
- ②ハーフ(half):ドミナントで終わる
- ③プレイガル(plagal):サブドミナント→トニックで終わる
- ④ディセプティブ(deceptive):ドミナント→トニック以外で終わる
みたいな感じだと思います。
その他の終止
ピカルディ・ケーデンス(Picardy cadence)
ピカルディ終止、ピカルディの3度※とも。
短調の主和音であるⅥmで終わると見せかけて、同主長調の主和音であるⅥで終わります。
※Ⅵmに対してⅥは、ベース音に対して3度の音が半音上がるため。
ピカルディ終止を転調と考えるかどうかは、議論の余地がありそうです。