「グルーヴ/グルーヴィ」とは何か。解説&考察する。

思考整理
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音楽好きや楽器演奏者なら、しばしば目にする言葉、「グルーヴ(Groove)」。

ただ、どんな意味かイマイチよく分からない部分もあると思います。

 

それもそのはず。

この言葉にはきちんとした定義は存在しません。

ただ、音楽に深く関わる言葉なので、できるだけ具体的に解説&考察してみました!

では、いってみよう!(๑˃̵ᴗ˂̵)و

グルーヴ/グルーヴィとは?

語源

Wikipediaによると、「グルーヴ」の語源は「アナログレコードの溝」らしいです。

(アナログ)レコード盤の音楽を記録した溝を指す言葉で、波、うねりの感じからジャズ、ファンク、ソウル、R&Bなどブラックミュージックの音楽・演奏に関する表現に転じた言葉である。

wikipedia

みんな なんとなく共有している「グルーヴ」の意味

グルーヴ」は、多くのリスナーやミュージシャンの間でなんとなく共有されている概念で、リズムのノリや様子を指す言葉です。

そして、主に「数値で量れないカッコよく心地よいリズム・ノリを持つ演奏内容」を指す場合が多いです。

グルーヴィ」は、「グルーヴ」を形容詞にした形です。

使い方

心地よいリズム・ノリ」を含む音楽に対して「良いグルーヴがある」や「グルーヴしている」「グルーヴィだ」みたいに使われます。

ただ、定義のはっきりしない言葉なので、「良いグルーヴの演奏か」は人によって解釈が異なります。

「グルーヴ」を感じさせる要素

では、「グルーヴ」を感じさせる要素は何でしょうか。

 

英語のWikipediaの「グルーヴ」の項目を見ると

groove has been described as “an unspecifiable but ordered sense of something that is sustained in a distinctive, regular and attractive way, working to draw the listener in.”

グルーヴは「特定できないが秩序のある何らかの感覚であり、それが特徴的で規則的で魅力的な方法で維持され、リスナーを引き込もうとする働きをしている」

https://en.wikipedia.org/wiki/Groove_(music)

とあります。

しかし…”特定できない“とは言っても、色々な場所で「グルーヴ」という言葉が使われる昨今。

“「グルーヴの輪郭”を少しでも掴むため、”音楽の中で「グルーヴ」を生み出していそうな要素“をいくつか考察してみました。

①打点タイミングのズレ・揺れ

一般的にこの「打点タイミングのズレ・揺れ」は、「グルーヴ」を生み出すのに欠かせない要素として語られます。

 

熟練のミュージシャンたちは非常に正確なリズムを知覚し、演奏できます。しかし、人間が演奏している以上、細かく見れば微妙なリズムの揺れは生じるものです。

そして、「打点タイミングのズレ・揺れ」は、アンサンブル全体の”リズムのノリ“や”アタック感(音の立ち上がりの鋭さ)”などに微妙な変化を与えます。

その変化が、「グルーヴ」を生み出す要因だと考えられるのです。

また、「打点タイミングのズレ・揺れ」は、世界中の様々な音楽ジャンルや民族音楽などの特徴にも関係する要素です。

こちらの動画では、通常使われる音符よりも細かいオーダーで、様々な音楽ジャンルの「グルーヴ」を分析する視点が紹介されています。

ちなみに、比較的安価でリズムのプログラムが可能な最初のドラムマシン「Roland TR-808」の発売は1980年です。つまり、「打点タイミングのズレ・揺れ」が無いリズムを自由に演奏可能になったのは、音楽の歴史の中ではかなり最近の出来事です。

 

…しかし、僕自身は、打点タイミングのズレ・揺れ」を「グルーヴを考える時の”主軸”にしない方が良いと思ってます。

なぜなら、現代耳にする音楽の多くは、オンタイム(メトロノームに忠実なリズム)が基本だからです。

また、打点タイミングのズレ・揺れによるグルーヴは安定しない演奏と紙一重です。

BOØWYザ・ブルーハーツGLAYなど、数々のアーティストのプロデュースを手掛けた佐久間 正英さん

「グルーヴ」は逃げ道として非常に便利な言葉。
よって、安易にこの言葉を使わないように。

『直伝指導! 実力派プレイヤーへの指標 How to be a professional player? プロになること、目指すこと』 p.29

と自身の著書の中で書いています。



ちなみに、「打点タイミングのズレ・揺れ」に関して

  • ①「メトロノームからのズレの有無」=「グルーヴの有無」とする場合
  • ②「カッコいい・ノれる演奏である」=「グルーヴがある」とする場合

の2通りの解釈をする流派があると感じられます。

②流派の場合は、メトロノームに忠実な演奏でも、その他の要因で心地よいリズムであった場合は「グルーヴィがある」と評されます。

②音の長さ/休符の入れ方

リズムの心地よさには「音の長さ/休符の入れ方」が深く関わっていると考えられます。

多くの人は”音を出すタイミング“に気をとられがちです。しかし、実際は“音を切るタイミング”も”音を出すタイミング”と同等に重要です。

…実は、一番リスナーに「グルーヴ」の有無を感じさせる要素かもしれません。

なぜなら、「音の長さ/休符の入れ方」によって演奏の印象はガラリと変わるからです。↓(参考)

③音の強弱

音の強弱」も「グルーヴ」に深く関わると思われる要素です。

適切な強弱が付けられた演奏は、そうでない演奏に比べて魅力的に感じられます。

ここで言う「音の強弱」は、単純な音圧レベル(dBの数値)の大小だけでなく、どんな鳴らし方かも含んだ概念だと考えられます。

どういう意味かと言うと、

このBenny Grebのドラムソロ、5:30あたりからで叩き始めます。当然スティックを使って叩くのに比べて、音が小さく感じられますね。

ただ、実際に聴こえる音量(dBの数値)の大小は再生機器や、YouTube側のヴォリュームでコントロールできます。

しかし、ヴォリュームを変えても”手で叩いている音色“が”スティックを使って叩いている音色“に比べて“強い”とは感じないと思います。

つまり、音楽における「音の強弱」は、単純な音量の大小だけでなく”音の鳴らし方”も関係すると考えられます。

④音色/ゴーストノート

音色」も「グルーヴ」と深い関係があると思います。

なぜなら、ゴーストノート(音程感の無いサスティンの短い音)を散りばめた良い演奏が「グルーヴィだ」と評される場合が多い気がするからです。

逆に、ストリングス・シンセパッドなど音の立ち上がりが遅い音や、残響成分が多い音色を使った演奏は良い演奏でも「グルーヴィである」と形容されるケースは少ないと思います。

演奏例

では、実際に「グルーヴィである」と言えそうな演奏を見ていきましょう。

ベースラインのカッコよさはもちろん、美味しいところでゴーストノートや休符を入れて音の流れのメリハリをつけいます。

“良いグルーヴの演奏である”と言えるでしょう。

クラビネット/オルガン・ベース・ドラムというグルーヴを生み出しがちな楽器のコンボですね。笑

終始グルーヴした気持ちの良いリズムの演奏になっているはずです。

こちらも、ゴーストノートや弦のスライド、音の粒立ちの良さが気持ち良いです。

“グルーヴィな演奏”になっていると思われます。

曲名に違わずファンキーでカッコいいグルーヴの演奏。

カッティングによる細かいゴーストノートが含まれた心地よい演奏だと思います。

リズムの中における「グルーヴ」の位置付け

いかがだったでしょうか。少しでも「グルーヴ」に対するイメージが掴めたようでしたら幸いです。

 

個人的には、リズムを考える時に“リズム”に関係する要素を、”抽象度で分類”して「グルーヴ」をリズムを構成する要素の一つと考える方法もあると思っています。

詳しくはこちらの記事↓でまとめているので、リズムに興味がある方は、こちらも是非!

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