【無かったことにされた転調】嵐 ARASHI – Love so sweet : Reborn【感想・楽曲分析】

楽曲分析・音楽レビュー
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嵐の『Love so sweet : Reborn』を聴いたので、感想を書きます。

※注意:僕は嵐のガチファンではありません。的外れなことを言っていたらごめんなさい。

Rebornシリーズ

この曲に限らず、去年の終わりごろからは「Rebornシリーズ」と銘打って過去曲のリアレンジ版をリリースしているようですね。

他のRebornシリーズの曲も聴きましたが、どれも英詩洋楽ポップスのサウンドやアレンジを多く取り入れている印象です。

たとえば

  • 生ドラムではなく、サンプル系の音を使ったリズムパターン
  • プラック系音色のシンセを使った伴奏のアレンジ
  • 積極的な音声加工ピッチ修正

などは、ここ数年の洋楽ポップスのトレンドでしたからね。

Love so sweet : Reborn』も、これらの要素を取り入れたモダンなアレンジになっています。

無かったことにされた転調

曲自体は相変わらずの名曲ですし、アレンジもカッコよかったと思います。

 

でも、『Love so sweet : Reborn』を聴いて少しショックでした。

原曲にはあった”巧みな転調”が無かったことにされているのです。笑

 

僕は結構転調マニアなところがあって

↑この記事でも嵐の『Love so sweet』を取り上げています。

 

Love so sweet』の原曲はサビに行く時に、Bメジャーキー(#×5)からCメジャーキー(#・♭×0)♭+5の転調いわゆる“半音上のキー”へ転調”)します。

 

だから何だって?

最後のサビでいわゆる“半音上のキー”に転調する曲」はごまんとあります。

しかし、「普通のサビで”半音上のキー”へ転調する曲」は珍しいのです。

しかも、その転調の組み立てが非常に美しいのです。

Love so sweet(原曲)の転調分析(行き)

では、実際にBメロ後半(サビ前)のコード進行を見てみると…

 

そらに  ひびけ   あいのうたーーーー

Ⅱm7 → Ⅲm7 → ♭Ⅶ7 → Ⅱm7/Ⅴ → Ⅲ7 → Ⅳ7

みたいな感じです。

 

まずは、Ⅱm7/Ⅴ → Ⅲ7

この時点で丁寧過ぎるサビへの流れです。

 

さらに、Ⅲ7 → Ⅳ7と半音ズラしのドミナント・セブンコードを連続で鳴らして違和感を減らしています。

そして、このⅣ7は”転調先から見たⅢ7″になってます。

 

あぁ…なんと丁寧な転調への導線でしょうか!!

 

どのくらい丁寧かというと、

サカナクションばりの丁寧さです。(は?)

Love so sweet(原曲)の転調分析(帰り)

しかし、これでは終わりません。

原曲『Love so sweet』の、真の転調エモポイント…

 

それは、帰りです。

 

ラスサビで半音上に転調する曲は、そのまま終わっても良いので元のキーに帰る必要がありません。

 

しかし、原曲『Love so sweet』のように通常サビで転調をする場合、よほどアヴァンギャルドな曲構成でもない限り2番のAメロでキーを元に戻す必要があります。

 

原曲『Love so sweet』のその部分が どうなっているかというと…

 

サビが終わってすぐ元のキーには戻りません!

サビ終わりには、whoa whoa yeah yeahゾーン(勝手に命名)があります。

実は、この“whoa whoa yeah yeahゾーン”は、序盤にも登場します。(0:17あたり)

したがって、キーは違ってもリスナーにとっては2回目の登場です。

 

そう。2回目なのです。

一度聴いたメロディなので、大半のリスナーはサビで転調したなど忘れて”戻ってきた感“を覚えるはずです。

 

しかし、実際に元のキーに戻るのは、その先。

“whoa whoa yeah yeahゾーン”から、2番のAメロに入るときです。

 

つまり、キーが違う“whoa whoa yeah yeahゾーン”を挟み、より自然に元のキーに戻る仕掛けになっているわけです。

 

そもそも、前奏後すぐにAメロに行く曲が多い中、この曲は前奏とAメロの間にわざわざ“whoa whoa yeah yeahゾーン”があります。

なぜでしょうか?

僕は、この1回目の“whoa whoa yeah yeahゾーン“自体が、転調を自然にするため逆算して作られた布石だと感じます。

 

また、“whoa whoa yeah yeahゾーン” → 2番のAメロ への和音の流れも素晴らしいです。

具体的には

Ⅵ/#Ⅰ → #Ⅳsus4 → #Ⅳ → 2番のAメロへ

のような形になっています。

2つのキーに共通する音使った、コードの機能的な観点から見ても巧みなコード進行です。

詳しくはこちら↓

まとめ

まとめると『Love so sweet』の原曲は

①あらかじめ序盤で“whoa whoa yeah yeahゾーン”という布石を打つ

②スムーズなコード進行を使う

この二段構えで、珍しい転調をスムーズに成功させていると思います。

 

 

なんという巧妙なアレンジ…!

 

 

まったく隙がない曲構成…!!

 

 

 

しかし!!!!

 

Love so sweet : Reborn』は!!!

 

全てCメジャーキー!!!!

転調は…無かった…だと…!!!??

  

「様々なテクニックを弄してサビで半音上に転調してまた戻ってくる」…

 

そんな いかにも”平成J-Pop的なコードワークの価値観“など、最早ダセぇ

 

そういうことなのかァァァア…!!!??オォオオオオイ!!!?!

冷静な話

…まぁ、実際のところ洋楽ポップスではシンプルなコード進行を使う傾向があります。

だから、リアレンジの方向性との整合性を考えてコードがバンバン変わる質感を控えたかったのだと推測できます。

それに、音域面で考えればそこまで意味が無いわりに処理が面倒な半音のキー移動を無くすことは選択肢としては理解できます。

でも、この転調はとても巧妙だったので、是非残してほしかったところ…!

 

 

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