昭和 VS 平成 ヒット曲の違いを分析【Spotify APIとPythonでデータ分析】

ブログ
当サイトの記事には、アフィリエイトリンクを含むものがあります。
アフィリエイトリンクは、ユーザー(あなた)がリンク経由で商品を購入すると、広告主などからサイトの運営者(わたし)に報酬が支払われる仕組みです。ユーザー側(あなた)に金銭的な利益や損失は発生しません。
リンク先の商品はわたしが実際に「良い」と思ったものであり、当サイトの記事の内容は広告主からの影響を受けていません。
何かご不明な点がございましたら、お手数をおかけしますがContactページよりお知らせください。

 

今回は、Spotifyの公式プレイリストである

昭和ポップス

と「平成ポップヒストリー

に含まれている曲のデータを比較・分析してみました!!

では、いってみよう!(๑˃̵ᴗ˂̵)و

はじめに

はじめに、分析の方法を軽く説明します。

Spotifyは、配信している楽曲に”AIで判定した曲の情報“を付与しています。

この”情報“には、「曲のキー」や「テンポ」などに加えてSpotify独自の評価項目も含まれます。

たとえば、”danceability“は「踊りやすさ」の度合い示す項目になります。
(詳しくは、ドキュメント↓のObjects Indexの項目あたりに書いてあります。)

Spotify for Developers

そして、その”情報“はSpotifyのAPIを介して取得できます。

API」は、ウェブサービス等が機能の一部を外部ユーザーにも使わせてくれる仕組みで、大雑把に言えば「プログラミング言語を使ってサービスの機能を使わせてもらうための受付窓口」みたいな概念だと思います。

…というわけで今回の記事は、上記の2つのプレイリストの”Spotifyが付与した情報“をAPIを介して取得し、主にpythonを使ってデータを比較・分析した結果になります。

昭和と平成 それぞれのデータの特徴を分析する。

最初は、昭和と平成のプレイリストのデータを個別に分析してみます。

どちらのプレイリストにも、それぞれ100曲分のデータが含まれています。

昭和ポップス

まず、「昭和ポップス」に含まれる曲のリリース時期データを見ます。

すると、「昭和ポップス」と言いつつリリース時期が昭和(~1989年)の間に収まっていないのが分かります。

つまり、「昭和ポップス」プレイリストには、リマスターやベストアルバムとして後日再リリースされた音源も多く含まれているようです。

(「曲自体が作られた時期」と「他のデータとの関係性」を調べられないのは、少し残念ですね。)

 

次に、各パラメーターの相関係数を見てみます。

loudness(ラウドネスの値)」と「energy(激しさの値)」の相関など、特に不思議ではない相関が多い印象です。

平成ポップヒストリー

次は「平成ポップヒストリー」のデータです。

各パラメーターの相関係数を見てみます。

こちらも、あまり面白そうな特徴は見受けられません。

あえて言うなら、「loudness(ラウドネスの値)」と「YearMonth(リリース時期)」との相関関係から音圧戦争の影響が具体的に分かりますね。

ラウドネス・ウォー - Wikipedia

昭和と平成との比較

では、いよいよ「昭和と平成の比較」にいきましょう!

音圧

まずは、音圧です。

音圧に関しては、先ほど「平成ポップヒストリー」個別の所見でも触れましたが…

平成と昭和のデータを合算しても「loudness(ラウドネスの値)」と「リリース時期」には正の相関があります。(計算した相関係数は約0.45)

つまり、昭和ヒット曲も再リリース時に音圧を上げた可能性が高いと伺えます。

 

ちなみに、散布図の右上の”音圧がつよつよな曲“は、DA PUMPの『U.S.A.』です。

DA PUMP / U.S.A.
YouTubeMVの再生画面を右クリックして「詳細統計情報」を見てみると、音圧が高すぎて音量を65%下げられているようです。

(YouTubeやSpotifyなどの主要配信プラットフォームがラウドネスノーマライゼーションを導入し、令和になって音圧戦争がやや落ち着いてきた印象もあります。)

キー

SpotifyのAIは転調を判別しません。付与されているキーの情報は恐らく曲の中で最も使用されている時間が長いキーだと思われます。

キーの違い」はヴォーカルの音域の都合に拠る部分も多く、深い意味は無いかもしれません。

  

ただ、データを眺めて思うところはあります。…と言うのも、ヴォーカルの音域以外にも、”キーの選択に影響を与える要素“はあると考えられます。

それは、「楽器の演奏しやすさ」と「楽譜の読みやすさ」です。

#がつく調号のキーは弦楽器、♭がつく調号のキーは管楽器が、比較的演奏しやすいキーです。
そして、調号の(変化記号の)数が少ないキーの方が「楽譜が読みやすい」と感じる人が多いはずです。

詳しくはこちら↓

キーの分布を見ると、昭和ヒット曲は「調号が少ないキー」、平成ヒット曲は「#がつく調号のキー」が比較的多い印象を受けます。

調号の(変化記号の)数は、ある程度の読譜力を持つミュージシャンにはあまり関係無い気もするので、昭和に「調号が少ないキー」が多い理由はよく分かりません。(たまたまかもしれません。)

一方、「平成ポップヒストリー」に「#がつく調号のキー」が比較的多いのは、バンドの楽曲が多いのと多少関係がありそうだと思いました。(弦楽器であるギターやベースが演奏しやすいキーが選ばれている。)

danceability

danceabilityは「踊りやすさ」を示すSpotify独自の評価項目です。

具体的にどのように「踊りやすさ」を判定しているかは分かりません。
ドキュメントでは以下の説明がされています。

Danceability describes how suitable a track is for dancing based on a combination of musical elements including tempo, rhythm stability, beat strength, and overall regularity. A value of 0.0 is least danceable and 1.0 is most danceable.

訳:テンポ、リズムの安定性、ビートの強さ、全体的な規則性などの音楽的要素の組み合わせに基づいて、トラックがどの程度ダンスに適しているかを説明します。値が0.0の場合は最もダンサブルではなく、1.0の場合は最もダンサブルです。

https://developer.spotify.com/documentation/web-api/reference/#objects-index
見やすさのためdanceabilityを100倍した値を四捨五入しています。

このデータを見ると、昭和のヒット曲の方が比較的ダンスに適しているのが分かります。

平成ヒット曲の”バラード風味曲が多そうな印象“とも合致します。

テンポ(BPM)

BPMを100~200の間に収めるため、100以下の値を2倍、200より大きい値を1/2倍しています。
昭和ポップス平成ポップヒストリー
頻出BPM:130、146、148111、123、124、174
BPMの平均値:140144
BPMの中央値:138138
BPMの最大値:200200
BPMの最小値:102100.5

昭和と平成を比較して、極端な偏りは感じられません。

全体的に見ると120〜150 BPM辺りが多く、細かく見れば昭和は150 BPM辺り、平成は120 BPM辺りが多そうです。

しばしば「最近の曲は昔の曲よりテンポが速い」みたいな感想を耳にします。

しかし、実際はテンポよりもリズムの組み方によって体感的な曲の速さは大きく変わります。

詳しくはこちら↓

本当に時代を追うごとに曲のテンポが速くなっていたら、そのうち人間が演奏ができなくなりますからね。笑 このデータからも、その一端が伺えるのではないでしょうか。

曲の長さ

平成のヒット曲の方が、曲が長い傾向が分かります。

平成では「平歌とサビを繰り返すシンプル曲構成」ではない凝った構成の曲が増えた分、曲が長くなったのかもしれません。また、平成にバラード系の曲が多いのとも関係がありそうです。

ただ、ストリーミング配信が主流になってきた令和ではまた短い曲が増えそうです。

そして、昭和と平成共通して大体3分前半~5分後半の間に収まっています。
ポップスのヒット曲を作ろうと思う場合は、30秒の曲10分の曲はあまり作らない方が良さそうですね。笑

Acousticness

Acousticnessは「アコースティック度」を示すSpotify独自の評価項目です。

A confidence measure from 0.0 to 1.0 of whether the track is acoustic. 1.0 represents high confidence the track is acoustic.

訳:トラックがアコースティックであるかどうかの信頼度を 0.0 から 1.0 の範囲で表します。1.0 は、トラックがアコースティックであるという確信度が高いことを表します。

https://developer.spotify.com/documentation/web-api/reference/#objects-index
見やすさのためAcousticnessを100倍した値を四捨五入しています。

平成のヒット曲のAcousticnessが低い傾向が伺えます。

具体的な曲名を見てみましょう。

Acousticnessが高い曲トップ10はこちら

list_nameNameArtistAcousticness
平成ポップヒストリーさくら – 独唱Naotaro Moriyama95
平成ポップヒストリーハナミズキYo Hitoto88
昭和ポップスさよならの向う側Momoe Yamaguchi85
平成ポップヒストリー真夏の果実サザンオールスターズ82
昭和ポップスノーサイドYumi Matsutoya81
平成ポップヒストリー長い間Kiroro81
昭和ポップスウエディング・ベルSugar79
平成ポップヒストリー栄光の架橋Yuzu78
昭和ポップス魅せられてJudy Ongg76
昭和ポップスいっそ セレナーデ – Remastered 2018Yosui Inoue75

Acousticnessが低い曲10曲はこちら

list_nameNameArtistAcousticness
平成ポップヒストリーシャングリラChatmonchy0
平成ポップヒストリー君はロックを聴かないAimyon0
平成ポップヒストリーさよならエレジーMasaki Suda0
平成ポップヒストリーTRUE LOVEFumiya Fujii0
平成ポップヒストリー愛のためにTamio Okuda0
平成ポップヒストリーラブ・ストーリーは突然にKazumasa Oda0
平成ポップヒストリーGLAMOROUS SKYNana starring Mika Nakashima0
平成ポップヒストリーRising SunEXILE0
平成ポップヒストリーGen Hoshino0
平成ポップヒストリーBoys & GirlsAyumi Hamasaki0

Acousticness“をSpotify側が具体的にどう判定しているかは分かりません。

ただ、なんとなくミックスのやり方や電子楽器の使用の有無などが影響していると感じます。

valence

valenceは「音楽的なポジティブさ」を示すSpotify独自の評価項目です。

A measure from 0.0 to 1.0 describing the musical positiveness conveyed by a track. Tracks with high valence sound more positive (e.g. happy, cheerful, euphoric), while tracks with low valence sound more negative (e.g. sad, depressed, angry).

訳:0.0~1.0の間で、トラックから伝わる音楽的なポジティブさを表す尺度です。値の高いトラックはよりポジティブに聞こえ(例:幸せ、陽気、多幸感)、値の低いトラックはよりネガティブに聞こえます(例:悲しい、落ち込んでいる、怒っている)。

https://developer.spotify.com/documentation/web-api/reference/#objects-index

SpotifyのAIの判定方法が分からないので詳しくは分かりません。

しかし、全体的な傾向で見ると、平成のポップスの方がネガティブ傾向の曲が多めなようです。

時流や世代間の価値観の違いなどと関係があるのでしょうか。

まとめと感想

データ分析をしてみると直観では気付きにくい部分が具体的に見えて面白かったです。

ただ、どちらのプレイリストもたった100曲なので、もう少し大きな括りで見ると結果も変わってくると思います。

 

よければ他の分析もどうぞ。

タイトルとURLをコピーしました