ギターのコードって覚えるの大変ですよね。
僕も昔、分厚いコードブックを買って「うわぁ…コードの押さえ方ってこんなあるのか…大変だなぁ…」と思ったものです。
しかし…、ギターを始めて10数年…振り返ってみると「よく使うものに限れば、押さえ方の種類ってそんなに多くないんじゃね?」と思ったので、伴奏や弾き語りで使えるオススメのコードを厳選してまとめました!
【最後まで読むべきか迷っている人向けに記事の要約】
- 7種類・14通りのコードの押さえ方を覚えると、100種類以上のコードが弾けます。
- 後半に練習フレーズのTAB譜があります。是非活用してください。
基礎知識の紹介
まず、オススメのコード紹介をする前に、知っておくべき基礎知識を説明します。
指板の音
ある程度、指板の音を知っておいた方がスムーズです。
こちらの動画↓でサクッと理解できるはずです。
ギターコードの基礎知識
ギターのコードは大きく2種類に分類できます。
それは
①解放弦を含むコード
と
②解放弦を含まないコード
です。
※解放弦…何も押さえていない状態の弦。TAB譜に「0」と書かれている。
まず、①解放弦を含むコードとは
こんなやつです。
①解放弦を含むコードは、ギターならではの美しい響きを出せます。
しかし、押さえ方を覚えてもあまり応用が効きません。
一方、②解放弦を含まないコードは
こんなやつです。
②解放弦を含まないコードは①解放弦を含むコードと違って、そのまま横にズラすだけで同じ種類のコードを押さえられます。
たとえば ↑ のコードフォームは、”メジャーコード“というコードの押さえ方です。
この押さえ方が出来れば、このように「Fメジャーコード」だろうが、
「A♭メジャーコード」だろうが、
ポジションをズラすだけで同じ種類のコードを押さえられます。
つまり、
②解放弦を含まないコードは、めちゃくちゃ応用が効くわけです。
「マジか! じゃあ”メジャーコード“ってやつは この押さえ方を覚えればOKってこと!?」
…と なりそうですが、少し待ってください。笑
↑この“メジャーコード”の押さえ方は、数多のギター初心者を挫折に追い込んできた悪名高き「初心者殺しのF(Fメジャーコード)」の押さえ方です。
初心者の方は実際に押さえてみると「…仕組みとしては便利かもしれんけど、そもそもこの押さえ方ができねぇ」って感じだと思います。
そこで、ギターコードについて知って欲しいポイントが3つあります。
ポイント①:同じコードでも、複数の押さえ方がある
ポイント②:コードは必ずしも構成音を全て鳴らす必要はない
ポイント③:よく使うコードの押さえ方はそんなに多くない
順番に説明していきます!
ポイント①:同じコードでも、複数の押さえ方がある
実は、先ほど紹介した「初心者殺しのFコード」以外にも”メジャーコード“の押さえ方はたくさんあります。
代表的なのは「ケイジド(CAGED)システム」と呼ばれる、5つの型(押さえ方)です。
ケイジド・システム
【ケイジド・システムの名前の由来】
5つの型のローコード(人差し指で押さえているフレットを解放弦に置き換えたコード)が、それぞれC,A,G,E,Dのメジャーコードのコードフォームになることから。
このC,A,G,E,Dの5つの型により指板上の主なメジャーコードのポジションが網羅されるので
「覚えれば指板上のあらゆるコードが分かる!」
みたいな謳い文句でケイジド・システムは しばしば紹介されます。
とりあえず、Cメジャーコード(“ド”・”ミ”・”ソ“)を例に、ケイジド・システムの視点で指板を確認してみましょう。↓
たしかに、5つの型で指板上のメジャーコードが網羅されています。
…しかし、個人的にケイジド・システムは「そこまで万能じゃないのでは…?」と思っています。
ケイジド・システムの問題点
たしかに、ケイジド・システムはポジションの把握には役立つかもしれません。
しかし、5つ中4つがバレーコードなんです。
※バレーコード:セーハ(人差し指で1~6弦を全てを押さえる方法)が使われているコード。
先ほど紹介した「初心者殺しのFコード」は、ケイジド・システムのE型にあたります。
このセーハが上手くできずに、挫折していく人が多いんですよね…。
だから僕は、バレーコードを最初から無理して使う必要は無いと思っています。
それに、G型に関してはギターを10年以上弾いていても正気の沙汰とは思えない押さえ方です。笑
他の型はともかく、G型の押さえ方はほぼ実践で使わない気がします。
したがって、
ケイジド・システムのフォームをそのまま覚えても、特に初心者の方はあんまり便利じゃない。
と思うんです。
「え…?でも…じゃあどうすればいいの?」と思いますよね。
この対策を、基本的な「コードの仕組み」と関連させながら解説します。
ポイント②:コードは必ずしも全ての音を鳴らす必要はない
コードネームは、特定のルールで「和音(音のまとまり)」に名前を付けたものです。
初めは少しややこしいかもしれませんが
たとえば、「”メジャーコード“のルール」は
ルート音(コードの基準となる音)
+
ルート音から長3度上の音(ルート音から半音4つ分上の音)
+
ルート音から完全5度上の音(ルート音から半音7つ分上の音)
です。
※「○○度」という表現は「音と音の相対的な距離」を示す言葉です。ここではしっかり理解できなくても大丈夫です。
実際に、Cメジャーコード(“ド”・”ミ”・”ソ“)を鍵盤で確認すると、ちゃんとこのルールに従っていると分かりますね。
そして、コードの考え方が便利なのは、
ルールに該当する音ならば「どんな順番で、何個鳴っていても同じコードとして扱う」点です。
重複する音は省略できる
たとえば、こんな感じ↓で
「”ド”・”ミ”・”ソ“」さえ鳴っていれば、全て「Cメジャーコード」になります。
(※ただ、ベース音(一番低い音)がルート音でない場合(転回形)は「C/E」や「C/G」のように表記します。↓)
このルールを逆手にとって考えれば
「重複している音は鳴らさなくてもコードとして成立する」と言えるわけです。
…「何が言いたいの?」って?
…先ほどのケイジド・システムの押さえ方をもう一度見てみましょう。
それぞれのポジションで、重複する音(同じ色で塗られた部分)がありますね。
「この重複する音は省略できるよ」 ってことです。
ルートに対して完全5度(半音7つ分)上の音も省略できる
さらに、多くの場合ルート音から「完全5度上」の音も省略できます。
“Cメジャーコード“の場合は、”G(ソ)“の音が「完全5度上」の音になります。
“G(ソ)“を除くとこうなります。
どうですか?
「Cメジャーコードは、この中から”C(ド)”と”E(ミ)”だけ押さえればOK!」
と考えれば、わりと簡単そうに見えてきませんか?
完全5度の音が省略できる理由は「倍音」が関係してきます。詳しく知りたい方はこちらの記事↓をご覧ください。
ポイント③:よく使うコードの押さえ方はそんなに多くない
さて。
ここでさらに、音楽理論的な視点から「よく使うコード」を7種類にまで絞りました!
その7種類のコードは、以下の通りです。
・パワーコード (例:C5)
・メジャーコード (例:C)
・マイナーコード (例:Cm)
・メジャー・セブンコード (例:C△7,CMaj7)
・マイナー・セブンコード (例:Cm7)
・ドミナント・セブンコード (例:C7)
・ディミニッシュコード (例:Cdim,Cm(♭5))
この7種類のコードの押さえ方を知っていれば、ポップスの曲は8割がた演奏できると言っても過言ではありません。
(残り2割は必要に応じて覚えれば良いわけです。)
※この7種類を選んだ理由は「ダイアトニックコードにたくさん含まれるコードだから」です。
「ダイアトニックコードとは何なのか?」など音楽理論の具体的な内容が気になる方は別のページを参考にしてください。
…と、前置きが長くなりました。
この記事は、
以上の7種類のコードの”複数の押さえ方“の中から、オススメのものを紹介する
がメイントピックです。
では、いってみよう!(๑˃̵ᴗ˂̵)و
オススメのコード7選
パワーコード (例:C5)
圧倒的な押さえやすさと、汎用性の高さを持つコードです。
しかも、5弦をルート音にしても全く同じフォームです。覚えやすい!
特にロック音楽などには欠かせないコードです。
そしてマジな話、紹介した7種類のコードのうち”ディミニッシュコード“以外のコードは、”パワーコード“で置き換え可能です。
コードネームの意味がよく分からなくても、ルート音だけ読んでパワーコードにして弾けば曲の伴奏としてある程度成り立ちます。
つまり、実質パワーコードさえ覚えればギターで伴奏できるのです!
メジャーコード (例:C)
“メジャーコード“は、先ほどのケイジド・システムのE型とA型から、いくつか音を省略した押さえ方をよく使います。
どちらもセーハをする必要がないので、押さえやすいです。
また、完全5度の音を抜いているので、歪んだサウンドでも気軽に使えます。
余裕がある人は、”メジャーコード“の3度の音をベース音をにしたフォームも覚えておくと便利です。
マイナーコード (例:Cm)
“マイナーコード“は、この2通りの押さえ方をよく使います。
押さえていない弦が鳴らないように指のハラなどでミュートするのがポイントです。
メジャー・セブンコード (例:C△7,CMaj7)
“メジャーコード“に”メジャー7th“の音を加えた、”メジャー・セブンコード“。
5弦ルートの押さえ方は、6弦ルートでも使えます。
マイナー・セブンコード (例:Cm7)
単体で鳴らし続けるだけで、カッコいい”マイナー・セブンコード“。
ちなみに、実は”マイナーセブン♭5コード“(ハーフディミニッシュコード)もこの押さえ方で代理可能です。例:Cm7(♭5)
ドミナント・セブンコード (例:C7)
サビ前やフレーズの後半によく登場する”ドミナント・セブンコード“。
右側の押さえ方は、6弦ルートでも5弦ルートでも使えます。
ディミニッシュコード (例:Cdim,Cm(♭5))
独特のエモさを醸し出すのに必要な”ディミニッシュコード“。
ルートからナナメに押さえればいいので分かりやすいです。
実用的な練習フレーズ(TAB譜)
いかがでしょうか。
最初は「やっぱちょっと多くね?」と思うかもしれません。
しかし、同じ形を少しズラしただけの押さえ方もあるので、実質14通りくらいです。
14通りの押さえ方を覚えると単純計算で約108個のコードに応用が可能です!
これでかなり色々な曲の伴奏ができるはずです!
…とはいえ、実際に弾いてみないと押さえ方は覚えられないと思います。
それから、「7種類のコードをどんな流れで使うか分からない!」と思う人もいるはずです。
そこで!!
今回紹介したコードの押さえ方を使った練習フレーズをいくつか用意しました!
どれも滅茶苦茶よく使われるコード進行なので、是非活用してみてください!!
カノン進行 系
【基本的な形】 C→G→Am→Em→F→C→F→G Ⅰ→Ⅴ→Ⅵ→Ⅲ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ
※ディグリーネーム表記が苦手な方はこちらのページ↓をご活用ください。
特にJ-popの名曲に多く使われているコード進行です。
古くはパッヘルベルのカノンに使われているためこう呼ばれます。
あいみょん – マリーゴールド
あいみょんさんのマリーゴールドのサビのコード進行を参考にした、カノン進行系の練習フレーズ。↓
Ⅰ → Ⅴ/Ⅶ → Ⅵm → Ⅴ→ Ⅳ → Ⅰ/Ⅲ → Ⅳ → Ⅴ
王道進行 系
【基本的な形】 F→G→Em→Am Ⅳ→Ⅴ→Ⅲm→Ⅵm
こちらも数多のJ-Popヒット曲に使われているコード進行です。
YOASOBI – 夜に駆ける
YOASOBIの夜に駆けるのサビのコード進行を参考にした、王道進行系の練習フレーズ。↓
Ⅳ → Ⅴ → Ⅲm7 → Ⅵm7 → Ⅳ → Ⅲ7 → Ⅵm7 → Ⅴm7 → Ⅰ7
おまけ
おまけで、あと2つ練習に使えそうなコード進行を紹介します。
King Gnu – 白日
King Gnuの白日のサビのコード進行を参考にした練習フレーズ。↓
Ⅵm → Ⅳ → Ⅴ → Ⅰ → Ⅲ7 → Ⅳ → #Ⅳm7(♭5) → #Ⅴdim
UVERworld – PRAYING RUN
UVERworldのPRAYING RUNのサビのコード進行を参考にした練習フレーズ。↓
Ⅳ△7 → Ⅲm7 → Ⅵm7 → Ⅴ → Ⅱm7 → Ⅴ7 → Ⅰ△7 → Ⅰ7
まとめ
さて。いかがだったでしょうか。
今回紹介したコードの押さえ方を覚えれば、おそらく分厚いコードブックを持ち歩く必要は無くなると思います。
おまけ
指板の情報を色付けして可視化するアプリを作りました。こちらも参考になると思います。
そして、コードについてはなんとなく分かったけどそもそも”ギター自体が上手くなりたい“気持ちがあると思います。
楽器を上達させるヒントをまとめた記事を書いたので、併せてこちらも是非。
では、よいギターライフを!(๑˃̵ᴗ˂̵)و
ちなみに、僕が自分用に使っているガチでまとめたコードフォーム一覧もあります。↓
開放弦を使わないギターコード表ただ、初心者の方にはあまりオススメしません。
もっと広いコードフォームの世界を覗いてみたくなった時にどうぞ。笑