以前こんな記事を書きました。
今回は、主にギター中級者以上の方へ向けて開放弦を使ったコードについてまとめました。
開放弦を使ったコードは、音の組み合わせが複雑になります。
だから、一部の有名な押さえ方を除いて「適当に鳴らしてみて良い感じの響きがしたらラッキー」みたいに使う人が多い気がします。
僕も正直、今までなんとなく開放弦を使ったコードを使っていました。
しかし、今回 自分の勉強のために
「開放弦を使ったコード」について本気でまとめました。
では、いってみよう!(๑˃̵ᴗ˂̵)و
「開放弦を使ったコード」をどう考えるか
まずは、数多く考えられる「開放弦を使ったコード」をどんな視点で分類するかを考えます。
なぜなら、コードをただひたすら書き起こしても実戦で使いにくいからです。
「道具はすぐ使える状態に整理するべき」ですよね。
そこで、僕は3つの視点から「開放弦を使ったコード」について整理しました。
①ケイジド・システムの派生形として捉える視点
②ルート音(使えるモード)ごとに分類する視点
③使えるキーごとに分類する視点
まず、①が基礎編
そして、②と③がこの記事の本気です。笑
※コードは全て、6弦のレギュラーチューニングを想定しています。
①ケイジドシステムの派生形として捉える視点
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/06/CAGED-System-in-C-Major-chord-1024x210.png)
まずは
ケイジド(CAGED)システムの派生形と考えられるフォーム
です。
こちらはギターの基本的なコードフォームとして、よく初心者向けの教則本などで紹介されます。
C型
いわゆる「C型」の開放弦を混ぜたコードフォーム。
マイナー系はあまり旨みが無く使いにくい印象です。
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/C-Major-chord_Flet-board.png)
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/CMaj7-chord_Flet-board.png)
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/C-add9-chord_Flet-board.png)
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/C-Minor-chord_Flet-board.png)
A型
5弦の開放弦をルートにしたA型の主なバリエーションです。
5弦開放弦がベース音になるので色々なコードが考えられますね。
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/A-Major-chord_Flet-board.png)
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/A7-chord_Flet-board.png)
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/AMaj7-chord_Flet-board.png)
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/A-Minor-chord_Flet-board.png)
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/Am7-chord_Flet-board.png)
G型
G型の開放弦を使ったコードフォーム。
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/G-Major-chord_Flet-board.png)
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/G-Minor-chord_Flet-board.png)
E型
ギターのレギュラーチューニングの6弦開放弦は”E“です。
したがってE型の派生形は一番映えるコードたちだと思います。
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/E-Major-chord_Flet-board.png)
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/E7-chord_Flet-board.png)
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/EMaj7-chord_Flet-board.png)
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/E-Minor-chord_Flet-board.png)
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/Em7-chord_Flet-board.png)
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/Em9-chord_Flet-board.png)
D型
基本的に開放弦は1本しか使いませんが、意外とバリエーションが出せるD型。
5,6弦をミュートしなければならないので、思いきりかき鳴らすのには少し不向きかもしれません。
しかし、アルペジオで聴かせる場合は美しく響くと思います。
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/D-Major-chord_Flet-board.png)
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/D7-chord_Flet-board.png)
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/DMaj7-chord_Flet-board.png)
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/D-Minor-chord_Flet-board.png)
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/Dm7-chord_Flet-board.png)
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/Dsus4-chord_Flet-board.png)
開放弦を使ったコードを本気でまとめていく。
いかがでしょうか。
おそらく中級者以上の方は、既に知っているコードフォームが多かったと思います。
今回の記事の本気は、ここからです。
以下の条件で考えられるコードフォームを、総当たり的に調べました。
条件1. 極端に押さえにくいコードフォームではない。
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/07/IMG_0921-1024x450.jpg)
極端に押さえにくいものや、きつめのストレッチをしないと押さえられないコードフォームは除外しています。
(僕の主観は入っていますが、概ね妥当なものを選んだはずです。)
条件2. オクターブ上にそのままズラしたフォームは省略
開放弦を使ったコードフォームは、1オクターブ上のポジションで同じ押さえ方をしても成り立つフォームが多いです。
たとえば、こんな関係のコードフォーム↓です。
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/08/Em-例.png)
これらを全て書き出すと数が多くなり過ぎます。
したがって、オクターブ関係に同じフォームで同じコードが作れるものは省略しています。
条件3. 使用頻度がそれなりに高く、使えるコードである。
ただ単に、開放弦を使ったコードフォームをただひたすら洗い出しても、最終的に使いやすいコードでなければあまり意味がありません。
そこで、主要なヘプタトニックスケールと、その派生モードから「よく使われるであろうコード」をピックアップしました。
以下のコードたちはコード的な発想でもモード的な発想でもそれなりによく使うはずです。
「よく使われるであろうコード」たち
- メジャースケール:Major、△7、add9、sus2、△9、6
- ハーモニックメジャー/メロディックメジャー:aug、aug△7、aug7
- ドリアン:Ⅱm/Ⅰ、m6、m6add9
- ドリアン#4:blk(♭Ⅶaug/Ⅰ、イキスギ・コード)
- フリジアン:sus4、7sus4、sus4(♭9)
- リディアン:△7(#11)、add#11、Ⅴ/Ⅰ
- リディアン#2:m△7(♭5)
- ミクソリディアン:ドミナント7th、♭Ⅶ/Ⅰ
- ミクソリディアン♭2:♭Ⅶm/Ⅰ、♭Ⅶm(♭5)/Ⅰ
- マイナー:Minor、m7、m9
- ハーモニックマイナー/メロディックマイナー:m△7
- ロクリアン:m(♭5)、m7(♭5)、m7(♭5)add11
- ウルトラロクリアン:dim7
※参考記事↓
以上の33種類のコードについて、C~Bの12種類のルート音それぞれの場合ごとに「開放弦を使ったコード」を探しました。
この半ば狂気的な取り組みでリストアップしたコードフォームは…
合計1700以上!
もちろん、全ての「開放弦を使ったコード」を列挙したわけではないです。
しかし、今回かなり実用的な形で「開放弦を使ったコード」を洗い出せた気がします。
「開放弦を使ったコード」の分布
さて、調べた開放弦を使ったコードの分布を見てみます。
開放弦を使ったコードとキーの関係
ギターのレギュラーチューニングは、6弦側からE,A,D,G,B,Eです。
したがって、これらの音を含むキーでは必然的に多くの「開放弦を使ったコード」が存在するはずです。
では、実際にはどのキーでどの程度「開放弦を使ったコード」が分布していたのでしょうか。
洗い出した開放弦を使ったコードフォームの数を、キーとコードの種類ごとに表で整理しました。
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/08/開放弦コードのランキング一覧-キーごと-1-1024x183.png)
やはり、E,A,D,G,B,E(つまり、ミとラとレとソとシ)を構成音に含む
- Gメジャーキー(#×1)
- Dメジャーキー(#×2)
- Cメジャーキー(#・♭×0)
などが開放弦を使ったコードが作りやすいキーであると分かります。
反対に、E,A,D,G,B,Eを構成音に含まないD♭メジャー(♭×5)では、ほぼ開放弦を使ったコードは使えません。
したがって、「開放弦を使ったコード」を使いたい場合は
- Gメジャー(#×1)
- Dメジャー(#×2)
- Cメジャー(#・♭×0)
あたりのキーを選択した方が良い。
と考えられます。
カポやダウンチューニングを使った場合
とはいえ、Gメジャー(#×1)、Dメジャー(#×2)、Cメジャー(#・♭×0)以外のキーでも、「開放弦を使ったコード」コードを使いたくなるときもあります。
その場合は、チューニングを変えるかカポタストを付ける方法が思いつきます。
その時に選ぶと美味しいキーも、一覧できるようにまとめました。
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2020/08/開放弦コードのランキング一覧-1-1024x283.png)
たとえば、この表を見るとBメジャーキー(#×5)でたくさん「開放弦を使ったコード」を使いたければ
capo4にすれば良いと分かります。
今回まとめた内容の譜面ダウンロード
はい。この記事を見ている方は実際に今回まとめた「ギターコードフォームの一覧」が欲しい方だと思います。
…ただ、すいません。流石にめちゃくちゃ時間をかけてまとめたので
- ②ルート音(使えるモード)ごとに分類する視点
- ③使えるキーごとに分類する視点
この2つのpdfは有料にさせてください。
でも、おそらくこの先ギターを弾き続けるなら一生使えると思います。
②が約800円、③が約500円、2つまとめて買うと約1000円です。
②を298円、③を198円、2つまとめて買うと398円に値下げしました!(2021/1/11)
譜面pdfのダウンロードは↓こちらからできます。
開放弦を使ったギターコード表②ルート音(使えるモード)ごとに分類する視点
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2021/01/Open-string-chords-chartsample_ページ_01-724x1024.png)
②ルート音(使えるモード)ごとに分類する視点でまとめたものです。
先ほど紹介した33種類のコードを、各12ルート音の場合ごとに分類しました。
したがって基本的には、モード的価値観からのまとめ方です。
しかし、親スケールの調号で記譜したので、調号を見れば「どのメジャー/マイナースケールでの環境で使えるか」も分かるようになっています。
例:Dリディアン(#×3)→#が3つのキーはAメジャー/F#マイナー。
③使えるキーごとに分類する視点
![](https://khufrudamonotes.com/wp-content/uploads/2021/01/Open-string-chords-chart-Diatonic-chordssample_ページ_01-724x1024.png)
③使えるキーごとに分類する視点でまとめたpdfです。
開放弦を使ったメジャーキーのダイアトニックコードを全12キーごとに分類しました。
②にはモード由来のややマニアックな和音も含まれているので、一番実用的なまとめ方かな?と思います。