人間はわりと“自分の意思“みたいなものを過大評価していると思う。
なぜなら、実際の人間の行動は、習慣や、環境や、本能みたいな「”自分の意思”とはちょっと違うもの」にかなり左右されるから。
きっと1日の間、”自分が自分でいられる時間”(=自分が”自分の意思”の支配下にある時間)は、そんなに長くない。と僕は捉えてる。
例えば、「ダイエット中に余計なものを食べちゃった」とか、「遊んじゃって勉強が捗らない」みたいな話はよくあるけど。
「自分が”自分の意思”の通りに動いてない」好例だと思う。
あるデータによると、普段の行動の約45%が習慣によるもの、約30%は睡眠らしい。
こういうデータからも、人間はかなりの割合「”自分の意思”とはちょっと違うもの」によって自分が動いていることが分かる。
脳科学的にも、習慣は「大脳基底核」、理性は「前頭葉」が関係しているらしく。
そもそも司っている部分が違うので、疲れてくると理性を司る「前頭葉」の動きが鈍って行動が習慣によるものに切り替わっていく… と。
つまり、疲れると「自分という乗り物」の操縦者が”自分の意思”ではなく”習慣”というオートパイロットに切り替わる感じらしい。
じゃあ、どうすりゃいいのか。
”自分が自分でいられる時間”の内に、「そうじゃない時の自分」が概ね”自分の意思”の望むように動いてくれる仕組みを考えて実行しておくしか無いんじゃないかと。
さっきの例えで言うなら
“自分の操縦桿”を自分が握っていられる時間のうちに、自分のオートパイロット(習慣)のプログラムを作るっていう発想。
たとえば、
南側に深い谷がある場所の近くに自分が居て、
そのうち意識を失ってランダムな方角に走り出す
って状況が前もって分かっていたとする。
この状況下で確実に谷に落ちないためには、
谷がない南以外の方角に走る75%の確率に賭けたり、気合いで意識を保とうとする
よりも、
「自分が”自分の意思”を保ってるうちに、谷ある南の方角に自分が越えられない壁を作るなどの対策する方が確実に落下を防げるよね」っていう発想。
じゃあ、どうやって習慣をプログラムするかだけど…
脳は大きな変化が苦手らしいく「最初はノルマをものすごく小さく設定する」ことが有効らしい。
例えば、ダイエットならいきなり食事制限やすごく高負荷の運動をするのではなく「いつも食べている量からちょっとだけ減らす」とか、スクワットを絶対1回やる とか。
楽器の練習でも、「いきなり 数時間やる!」みたいなやり方じゃなく「毎日 数分楽器を持つ」だけから始める。
みたいに小さい目標を設定して、徐々に時間を増やしていく方が結果的に挫折し辛く、習慣化しやすいらしい。
実際に僕は、もう10年以上雨が降ってたりする日以外は、基本的に毎日ランニングしているけど、これは別に意志の力じゃなくて習慣の力だと思う。
実際、走り始めてから帰って来るまで半分自分が自動で動いてるような感じもする。
思い返してみるとランニングを始めた最初のころは5分も走ってなかったけど、今は30分ぐらい(距離にすると5㎞)走ってる。
その時から知らないなりに習慣化するためのプロセスを踏んでいたのかなと思う。
(ちなみに大体2か月くらい継続すると習慣になるのが通説っぽい)
あと、環境の話をすると人間はやろうと思ってから5秒以内に実行に移さないと実行するハードルがとても上がるらしく
たとえば、楽器が上手になりたい時は、自分の手の届く範囲に楽器を弾ける状態で置いておくのはわりと有効な方法かなと思う。
(こういうこともあって僕は「楽器がどうすれば上達するか?」って質問には、まず大体こう答えてる。)
それから、途中までのテンプレート(雛形)を作っておくのもいいと思う。
作曲でも、面倒な作業は極力やりたくないのでソフトシンセのパラアウトの設定とか、普通にやると2,30時間分くらいのエンジニア的作業を既にやった状態のテンプレートを組むとラクなのでオススメ。
まとめとしては、自分はあんまり”自分の意思”で動いてないから、それを踏まえた上で自分が”自分の意思”が望むように動いてくれるにはこんな感じで工夫すればいいんじゃないか
という話でした。
僕も僕を僕が望むように動いてくれるために、これからも知恵をひねりたいと思います笑